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死後事務委任と遺言執行者の違い|役割・費用・併用が必要な理由を徹底解説【2026年版】

投稿日/2026.04.23 更新日/2026.04.30

カテゴリー:死後事務委任

「遺言書を書けば死後のことは全部解決する」――そう思っていませんか?実は、遺言書だけでは対応できない手続きが数多く存在します。葬儀の手配、公共料金の解約、デジタルアカウントの整理、ペットの引き渡し……これらは遺言書の範囲外であり、誰かが別途対応しなければなりません。特におひとりさまや身寄りのない方にとって、「死後に誰が動いてくれるのか」という問いは切実です。本記事では、死後事務委任契約遺言執行者という二つの制度の違いを徹底的に整理し、なぜ両方を準備する必要があるのかをわかりやすく解説します。


死後事務委任とは?基本と役割

死後事務委任契約とは、自分が亡くなった後に発生する「財産以外の生活後処理」を、生前に信頼できる人や専門家に依頼しておく契約です。法的根拠は民法643条(委任)および656条(準委任)に基づきます。

本来、民法653条では「委任者の死亡によって委任契約は終了する」と定められています。しかし、最高裁平成4年9月22日判決において、死後も委任の効力を継続させる特約は有効であると確立されました。この判例を根拠に、死後事務委任契約は今や終活の重要な選択肢となっています。

具体的にどのような業務をカバーするのか見てみましょう。

  • 葬儀・火葬・埋葬の手配と費用の支払い
  • 死亡届の提出(役所への各種届出)
  • 電気・ガス・水道・電話などの公共料金の解約
  • 賃貸住宅の解約と残置物の撤去
  • 遺品整理・形見分けの実施
  • SNS・メールアカウントなどデジタルデータの処理
  • ペットの引き渡し・新しい飼い主への橋渡し
  • 入院費・施設費などの未払い債務の精算
  • 友人・知人・職場への訃報連絡

ひとつ重要な点があります。死後事務委任契約は「財産の相続や処分」を行う権限を持ちません。あくまで「生活の後片付け」を担う制度です。不動産の名義変更や遺産の分配といった財産承継の手続きは、後述する遺言執行者の領域になります。

契約書の公正証書化は法律上の必須要件ではありませんが、受任者が死後に第三者(金融機関や不動産会社など)に対して権限を証明する場面では、公正証書であることが実務上ほぼ不可欠です。確実に機能させるためにも、公証役場での作成を強くお勧めします。

死後事務委任契約について詳しくは、死後事務委任契約とは?わかりやすく解説|対象業務・費用・業者選びまでもあわせてご覧ください。

遺言執行者とは?基本と役割

遺言執行者とは、遺言書に記された内容を実現するために法律上の権限を与えられた人のことです。法的根拠は民法1006条から1019条に規定されています。

遺言執行者は遺言書の中で指定するか、家庭裁判所に選任を申し立てることで決まります。特定の資格は必要なく、相続人本人が就任することもできますが、未成年者や破産者など一定の欠格事由がある人は就任できません。

遺言執行者の職務は「財産の承継」に関わるすべての手続きです。

  • 相続財産の調査と目録の作成
  • 不動産の相続登記(名義変更)の申請
  • 預貯金口座の解約と払い戻し
  • 有価証券・株式の名義変更
  • 遺贈(相続人以外への財産贈与)の履行
  • 遺言認知の届出
  • 相続人への遺言内容の通知

2018年の民法改正(2019年7月施行)により、遺言執行者の権限は大幅に強化されました。主な変更点は以下の通りです。

  • 特定財産承継遺言(いわゆる「相続させる」遺言)において、遺言執行者が単独で相続登記を申請できるようになった
  • 預貯金の払い戻し・解約の申入れ権限が法律で明文化された
  • 就任時に遺言の内容を相続人全員に通知する義務が法定化された
  • 復任(第三者への委任)が認められるようになった

この改正により、遺言執行者はより迅速かつ確実に遺言内容を実現できる体制が整いました。特に相続人間の関係が複雑な場合や、不動産・金融資産が多い場合には、専門家を遺言執行者として指定しておくことが有効です。

遺言執行者について詳しくは、遺言執行者とは?選任・職務・報酬をわかりやすく解説【2026年版】もあわせてご覧ください。

両者の根本的な違い(比較表)

死後事務委任契約と遺言執行者は、どちらも「死後の事務を担う存在」ですが、その性質・役割・カバー範囲はまったく異なります。混同しやすい二つの制度を、以下の比較表で整理しましょう。

比較項目 死後事務委任契約 遺言執行者
法的根拠 民法643条・656条 民法1006条〜1019条
法的性質 生前に締結する「契約」 遺言に基づく「制度」
設定方法 生前に当事者間で契約書を作成 遺言書に記載して指定(または家裁選任)
効力発生 委任者の死亡と同時に即時発動 遺言の検認・執行開始までタイムラグあり
カバー範囲 葬儀・行政手続き・生活後処理など財産以外の事務 遺産分割・相続登記・遺贈履行など財産の承継
担い手 専門家・友人・知人・NPO等(誰でも可) 弁護士・司法書士・相続人等(欠格事由あり)
費用の支払元 事前の預託金、または遺産からの精算 相続財産から支出

最も重要な違いは「カバー範囲」です。死後事務委任は「財産以外の生活後処理」、遺言執行者は「財産の承継」という、まったく異なる領域をそれぞれ担当しています。つまり、どちらか一方だけでは、死後に必要な手続き全体をカバーすることはできないのです。

遺言書について詳しくは、おひとりさまの遺言書完全ガイド|財産の行き先・遺贈寄付・費用・書き方を徹底解説【2026年版】もあわせてご覧ください。

死後事務委任と遺言執行者の役割分担イメージ

なぜ両方が必要なのか

「遺言書を書いて遺言執行者を指定したから大丈夫」と思っている方は多いかもしれません。しかし、遺言執行者が動き出すのは遺言の検認手続きが完了してからです。自筆証書遺言の場合は家庭裁判所の検認が必要で、公正証書遺言でも執行開始まで一定のタイムラグが生じます。

その間、誰が以下の対応をするのでしょうか。

  • 遺体の引き取りと安置
  • 葬儀社への連絡と手配
  • 死亡届の提出(死亡から7日以内が法定期限)
  • 電気・ガスなど生活インフラの停止手続き
  • 入居していた施設や賃貸物件の退去手続き

これらはすべて、遺言執行者の職務範囲外です。遺言執行者にいくら連絡しても、「それは私の仕事ではありません」と断られてしまいます。

特におひとりさまの場合、頼れる家族がいないため、これらの手続きを担ってくれる人を生前から契約で確保しておくことが不可欠です。行政(市区町村)が対応してくれるケースもありますが、迅速さや個人の意向の反映という点では限界があります。

また、ペットを飼っている方は特に注意が必要です。遺言書でペットを「遺贈する」ことは可能ですが、死後すぐの世話・引き渡しを確実に行うには死後事務委任契約でカバーする必要があります。デジタル遺産(SNSアカウント、仮想通貨、サブスクリプションサービスなど)も同様で、遺言書には書けても実際の削除・引き継ぎ作業は死後事務委任でなければ対応できません。

結論として、遺言執行者=財産の設計図を実行する人、死後事務委任受任者=生活の後片付けをする人として、二つの役割を別々に、または一人の専門家が兼務する形で準備することが、完璧な死後対策となります。

公正証書遺言について詳しくは、自筆証書遺言と公正証書遺言の違い|費用・手続き・どちらを選ぶべきか徹底比較【2026年版】もあわせてご覧ください。

費用・相場(内訳と費用形態)

終活の準備を進める上で、費用は避けて通れない問題です。死後事務委任契約と遺言執行者、それぞれの費用相場を把握しておきましょう。

死後事務委任契約の費用

費用項目 相場 備考
契約書作成費用 10〜20万円 公正証書化を含む
受任者への報酬 30〜100万円以上 業務範囲・依頼先により大きく変動
事前預託金 100〜150万円 葬儀費用等の実費を含む概算

遺言執行者の報酬(遺産5,000万円の場合)

依頼先 報酬目安 特徴
弁護士 約104万円 法的トラブルに強い・費用は高め
司法書士 約83万円 不動産・相続登記に強み
行政書士 約65万円 費用が比較的安価・死後事務の実績豊富

死後事務委任と遺言執行者の両方を準備する場合、生前の持ち出し合計は150〜300万円程度が目安となります。決して安い金額ではありませんが、準備しなかった場合に残された人(行政・遠縁の親族など)に多大な負担をかけることを考えると、これは「迷惑をかけないための投資」です。

費用を抑えるポイントとして、社会福祉協議会(社協)やNPO法人に依頼すると費用が安くなるケースがあります。ただし、業務範囲や対応力に違いがあるため、費用だけで選ばず、サービス内容を十分に確認することが重要です。

おひとりさまが専門家と終活の書類に署名するイメージ

信頼できる依頼先の選び方

死後事務委任契約と遺言執行者を誰に依頼するかは、準備の成否を左右する重要な判断です。主な選択肢とそれぞれの特徴を整理します。

専門家別の特徴

  • 弁護士:相続人間のトラブルや遺産分割協議がまとまらないケースに強い。費用は最も高め。複雑な案件には最適の選択肢。
  • 司法書士:不動産の相続登記が含まれるケースや、金融資産が多い場合に強みを発揮。弁護士より費用が抑えられる。
  • 行政書士:死後事務委任の実績が豊富で、費用も比較的リーズナブル。ただし不動産登記や裁判所手続きは単独対応不可。
  • 社会福祉法人・社会福祉協議会:費用が安い〜無料のケースも。地域密着型で生活支援と連携しやすい。
  • NPO法人:葬儀から遺品整理まで包括的に対応するところが多い。継続性・財務健全性の確認が必要。

依頼先を選ぶ際のチェックポイント

信頼できる依頼先かどうかを判断するために、以下の点を必ず確認しましょう。

  • 預託金の分別管理:預けたお金が事務所の運営資金と分けて管理されているか。信託口座の活用など具体的な管理方法を確認する。
  • 万が一の倒産リスクへの備え:法人が倒産した場合に預託金が戻るか。保証機関への加入有無を確認する。
  • 実績と経験:何件以上の死後事務委任を手がけているか。担当者の経験年数も確認する。
  • 契約内容の透明性:業務範囲・費用・報告義務が明確に契約書に記載されているか。
  • 担当者が変わった場合の対応:担当者の退職・病気などに備えた引き継ぎ体制があるか。
  • 定期的な面談・連絡体制:生前から関係性を構築でき、意向を伝え続けられる環境か。

また、一つの事務所に死後事務委任と遺言執行者の両方を依頼することも選択肢です。窓口が一本化されるため、情報の引き継ぎがスムーズになり、手続きの漏れやタイムラグを防ぐことができます。ただし、利益相反が生じないか(特に遺贈先への対応など)は事前に確認が必要です。

最終的には、複数の事務所・法人に相談し、担当者との相性や信頼感を確かめた上で決めることをお勧めします。「無料相談」を活用して、まず話を聞いてみることが第一歩です。

終活ロードマップとの関係

死後事務委任と遺言執行者は、終活全体の中でどこに位置するのでしょうか。終活を「いつ・何を・どの順番で」進めるかを整理することで、準備に迷いがなくなります。

一般的な終活ロードマップにおいて、これらの手続きは「生前契約フェーズ」に該当します。

  • Step 1:財産・情報の整理(エンディングノートの作成、財産リストの作成)
  • Step 2:医療・介護の意思表示(尊厳死宣言、任意後見契約)
  • Step 3:財産の行き先を決める(遺言書の作成+遺言執行者の指定)← ここ
  • Step 4:生活後処理の依頼先を決める(死後事務委任契約の締結)← ここ
  • Step 5:見守り・定期連絡の仕組みを整える(見守りサービスへの加入)

理想的には、Step 3とStep 4を同時期に、同じ専門家に相談しながら進めることで、手続きの抜け漏れを防ぐことができます。特に、遺言書の内容と死後事務委任の内容に矛盾がないか(例:遺言でA社に遺贈するのに、死後事務でB社が財産精算する、など)を専門家の目でチェックしてもらうことが重要です。

「まだ元気だから」と先延ばしにするほど、認知症リスクや突然の事故・病気によって契約締結が困難になります。判断能力が十分な今こそ、終活の全体像を把握した上で、一歩踏み出すタイミングです。

終活ロードマップを専門家と確認するイメージ

最新動向(2026年民法改正・デジタル遺言)

終活を取り巻く法制度は、2026年現在も大きく動いています。最新情報を把握した上で準備することが、将来の安心につながります。

成年後見制度の抜本改革(2026年4月)

2026年4月3日、政府は成年後見制度の抜本的改革を閣議決定しました。主な変更点は以下の通りです。

  • 3類型の廃止と一元化:現行の「後見・保佐・補助」という3段階の類型を廃止し、「補助」に一本化する方向で検討が進んでいます。
  • 終身制の廃止:これまで一度始まると原則として生涯続いた後見が、目的を達成した段階で家庭裁判所が職権で終了できるようになります。

この改革により、必要な期間・必要な範囲でのみ後見を受けるという、より柔軟な制度設計が実現します。死後事務委任や任意後見との組み合わせが、さらに重要性を増すことになるでしょう。

デジタル遺言(保管証書遺言)の創設(2028年度施行予定)

現在、遺言書は自筆か公正証書による作成が原則ですが、2028年度の施行を目指して「デジタル遺言(保管証書遺言)」制度の創設が検討されています。主な特徴は以下の通りです。

  • パソコンやスマートフォンを使って作成した遺言を、法務局で保管できるようになる
  • 作成・提出にはマイナンバーカードを用いた電子署名が必要
  • 自筆証書遺言の紛失・改ざんリスクを防ぎ、遺言書の普及を促す狙いがある

この制度が施行されれば、公証役場に出向かなくても法的に有効な遺言書を作成・保管できるようになります。特にデジタルに慣れた世代には、遺言書作成のハードルが大きく下がることが期待されます。

ただし、デジタル遺言が普及しても死後事務委任契約の必要性はなくなりません。財産の行き先を指定するのが遺言書の役割であり、葬儀・遺品整理・生活後処理の実行者を確保するのが死後事務委任の役割だからです。制度が変わっても、この本質的な違いは変わりません。

よくある質問(FAQ)

Q. 死後事務委任と遺言執行者は同じ人に頼んでも大丈夫ですか?
A. 可能です。同じ専門家に依頼することで、窓口が一本化され、情報共有がスムーズになるメリットがあります。ただし、遺贈先と死後事務の実施者が同一の場合など、利益相反が生じる可能性がある場合は事前に確認することをお勧めします。
Q. 遺言書があれば死後事務委任は不要ではないですか?
A. 不要ではありません。遺言書は財産の行き先を指定するものですが、葬儀の手配・公共料金の解約・遺品整理などは遺言書ではカバーできません。特におひとりさまの場合、これらを担う人を契約で確保しておく必要があります。
Q. 死後事務委任の預託金が心配です。万が一の倒産はどうなりますか?
A. 依頼先が倒産した場合、預託金が返ってこないリスクがあります。これを避けるには、①預託金が信託口座で分別管理されているか、②保証機関への加入有無、③一般社団法人や弁護士法人など信用力の高い法人への依頼——を確認することが重要です。
Q. 死後事務委任は何歳から契約できますか?
A. 判断能力がある成年であれば、年齢制限はありません。ただし、認知症が進行すると契約締結が困難になるため、できるだけ早い段階での準備をお勧めします。50〜60代での検討が理想的です。
Q. 費用が不安で準備に踏み切れません。
A. まずは無料相談から始めることをお勧めします。費用の全体像を把握した上で、自分の資産や希望する業務範囲に合ったプランを専門家と一緒に設計できます。社会福祉協議会に相談すると、公的支援の活用も含めた低コストな選択肢を案内してもらえる場合があります。

まとめ・無料相談のご案内

本記事のポイントを整理します。

  • 死後事務委任契約は「財産以外の生活後処理」を担う契約。葬儀・行政手続き・デジタル整理など、遺言書ではカバーできない領域が対象。
  • 遺言執行者は「財産の承継」を実行する役割。2018年改正で権限が大幅に強化された。
  • 二つの制度はカバー領域が異なるため、どちらか一方だけでは不十分。特におひとりさまには両方の準備が必要。
  • 費用は両方合わせて150〜300万円程度が目安。依頼先の信頼性(預託金の分別管理等)を必ず確認する。
  • 2026年の成年後見制度改革、2028年予定のデジタル遺言創設など、法制度は変化し続けている。

「自分の場合はどうすればいいのか」「費用はどのくらいかかるのか」——そんな疑問や不安を抱えている方は、ぜひ一度、専門家に相談してみてください。

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