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介護施設での看取りケア完全ガイド|臨死期のサイン・家族支援・死後手続きまで【2024年版】

投稿日/2026.04.28 更新日/2026.09.30

カテゴリー:ケアマネ・施設職員向け

「最期まで、ここにいたい」——そう願う利用者の思いに寄り添うのが、介護施設での看取りケアです。しかし現場では、臨死期のサインの見極め方がわからない、ご家族への言葉が出てこない、死亡後の手続きが不安という声が後を絶ちません。本記事では、ケアマネ・施設職員が現場で活かせる看取りケアの実践知識を、介護報酬の最新改定情報も含めて体系的に解説します。看取りは、単なる医療行為ではなく、利用者が自分らしく最期を過ごすための全人的なケアであり、職員の専門知識と寄り添いの姿勢が不可欠です。


看取りケアとは何か——ターミナルケア・緩和ケアとの違い

看取りケアは「死が近い方に対し、身体的・精神的・社会的苦痛を取り除き、その人らしい最期を支援するケア」を指します。似た言葉が多く混同されがちなので、まず整理しておきましょう。

用語 対象時期 主な提供場所 主目的
看取りケア 死の数週間〜数日前から 介護施設・在宅 尊厳ある最期の支援
ターミナルケア(終末期ケア) 余命6か月以内が目安 病院・施設・在宅 QOLの維持・苦痛緩和
緩和ケア 診断早期から終生 主に病院 疼痛・症状コントロール

介護保険法では「看取り介護」を「利用者が施設において安心して最期を迎えることができるよう、身体的・精神的苦痛を軽減し、家族への精神的支援も行うケア」と定義しています。病院と違い「治癒」ではなく「その人らしさの保持」が最大の目標です。治療の方針を見直し、痛みの軽減と生活の質の向上に中心を置くことが特徴となります。

なぜ施設看取りが増加しているのか

厚生労働省の調査によると、介護老人福祉施設での死亡数は年々増加しており、「2040年問題」に向けて施設での看取り機能強化が国策として推進されています。医療機関の病床削減と在宅医療の限界もあり、今後ますます施設職員の看取りスキルが求められます。同時に、自宅での看取りを望む利用者や家族も増えており、訪問看護との連携など、それぞれのニーズに応じた対応が難しい課題となっています。そのため、施設スタッフが看護の知識を得ることが不可欠です。

施設職員について詳しくは、施設職員が知っておくべき身元保証の基礎知識|法的根拠・実務対応・外部連携まで徹底解説【2026年版】もあわせてご覧ください。

施設での看取りケアで家族に寄り添う介護職員のイラスト

介護施設・病院・在宅での看取りの違いとメリット・デメリット

施設を選ぶ際の3つの判断基準

介護施設での看取りが有力な選択肢になるのは、医療の目的が「治癒・延命治療」から「苦痛緩和と生活の質」に切り替わっていることが、本人・家族・医師の間で共有されているときです。この認識がないと、急変のたびに入院となり、施設を選ぶ意味が失われます。

次に重要なのは、在宅介護の限界です。家族の体力、仕事の状況、夜間の見守りや排泄介助の負担、同居の有無など、実際の介護力を冷静に検討する必要があります。「家族に負担をかけたくない」という本人の気持ちも、施設選びの大切な判断基準になります。

そして、その施設が実際に看取りを行っているかどうかの確認が不可欠です。「看取り対応可」と書かれていても、看取り実績、指針の有無、看護師の配置体制、協力医療機関との連携など、対応力は施設ごとに大きく異なります。

急変時の対応——事前確認が家族の不安を解消する

施設での看取りにおける最大のデメリットは、医療処置の限界と急変時の対応です。点滴、酸素吸入、吸引といった医療処置がその施設で継続できるか、夜間に看護師が常駐しているかオンコール対応かで、急変時の判断が変わります。入所前に、以下の項目を具体的に確認することが、後々のトラブルを防ぎます。

  • 医療処置(点滴、酸素、吸引など)が施設で継続できる範囲
  • 夜間の看護師配置体制
  • 急変時に施設で看取るのか、救急搬送するのかの事前合意
  • 24時間連絡可能な医師・医療機関との連携体制

「施設で最期まで」と決めていても、状況によっては入院が必要になる可能性があります。この覚悟があるかどうかで、家族が受け入れやすくなります。

施設・病院・在宅の特徴比較

場所 メリット デメリット
介護施設 住み慣れた環境で日常生活を保ちながら最期を迎えられる。24時間職員がいるため、家族が「介護者」から「家族」に戻り、穏やかな時間を過ごしやすい。 医療処置に限界がある。急変時に搬送の可能性がある。施設ごとの対応力に差がある。
病院 高度な医療技術と24時間体制の医療スタッフによる管理。医療依存度が高い場合に適応できる。 治療中心になりやすく、本人の意思が反映されにくい場合がある。入院環境での心身の負担。家族の付き添いに制限がある場合も多い。
在宅 住み慣れた自分の家で、好きな人に囲まれて最期を迎えられる。自分のペースで過ごせる。 夜間の医療や介護体制の構築が困難。家族の身体的・精神的負担が極めて大きい。緊急時の対応に不安定さが残る。

「途中で選択を変えてもよい」という視点

決断を迫られる家族が抱く大きな不安は、「一度決めたら変えられない」という思い込みです。状況の悪化に応じて、施設から病院への移行や、在宅から施設への入所など、選択肢は柔軟に検討できます。この視点が、家族の心理的負担を大きく軽減します。

看取り介護加算(2024年改定)——算定要件とACP必須化

2024年の介護報酬改定で看取り介護加算の要件が大幅に見直されました。現場管理者は必ず最新の内容を把握しておきましょう。

加算単位数(特養の場合)

区分 死亡日 死亡前4〜30日 死亡前31〜45日
看取り介護加算(Ⅰ) 1,280単位 680単位/日 160単位/日
看取り介護加算(Ⅱ) 1,780単位 1,180単位/日 660単位/日

加算(Ⅱ)は、24時間連絡できる医師・医療機関との連携体制を整備した施設に適用されます。

2024年改定で必須化されたACP(アドバンス・ケア・プランニング)

今改定で最も重要な変更点が、ACP(本人・家族・多職種による繰り返しの話し合いプロセス)の実施が加算算定要件に明記されたことです。本人の人生観や価値観を踏まえ、どのような最期を迎えたいかについて、多角的な視点から考える重要なプロセスとなります。

アドバンス・ケア・プランニングについて詳しくは、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)とは?ケアマネ・施設職員のための進め方・会話例【2026年版】もあわせてご覧ください。

  • 入居時にACPの説明と同意取得が必要
  • 状態変化のたびに本人・家族と話し合いを重ねる(記録必須)
  • 「どこで・どのような最期を迎えたいか」の意思確認を文書化する
  • 多職種(医師・看護師・ケアマネ・介護職)が参加したカンファレンス記録が必要

施設種別ごとの看取り対応比較

施設種別 看取り対応 特徴
特別養護老人ホーム(特養) 積極的に対応 看取り介護加算の算定実績が最も多い
老人保健施設(老健) 施設により差あり 医療提供体制が整備されている施設では対応可
有料老人ホーム 施設により大きく差あり 24時間看護師常駐施設は対応力が高い
グループホーム(GH) 対応施設が増加中 医療連携体制の整備が課題。加算算定可能

臨死期のサイン——7つの徴候を見逃さない

看取り期に入ると、身体にさまざまな変化が現れます。これらのサインを理解し適切に記録・共有することが、ご家族の呼び出しタイミングや夜間対応の判断に直結します。

臨死期の7つの主要徴候

  • チェーンストークス呼吸:呼吸が深くなったり浅くなったりを繰り返し、一時停止(無呼吸)が混じる。死の数日〜数時間前に見られることが多い
  • 下顎呼吸(あごの動き):口をパクパクさせるような呼吸。死が数時間〜数十分以内に迫っているサイン
  • チアノーゼ:口唇・爪・四肢末端が紫色〜青色に変化する。末梢循環の低下を示す
  • 四肢の冷感・蒼白:手足が冷たく、皮膚の色が白くなる。死斑(紫色の斑)が現れることも
  • 意識レベルの低下:呼びかけへの反応が乏しくなり、眠っている時間が増える
  • 尿量の極端な減少:腎機能低下により尿量がほぼゼロになる
  • 死前喘鳴(ゴロゴロ音):喉の奥で唾液や分泌物が溜まりゴロゴロとした音がする。苦しいわけではないことをご家族に説明することが重要
家族に臨死期の状態を丁寧に説明する施設職員のイラスト

エンゼルケアの実施——6つのステップ

死亡確認後に行うエンゼルケア(死後のケア)は、ご遺体を清潔に整え、ご家族との大切な時間を支援する重要な業務です。多職種で役割を分担して行います。

エンゼルケアの基本ステップ

  • Step1:死亡確認後の連絡——医師・家族・施設管理者に速やかに連絡する
  • Step2:ご遺体の清拭——温かいタオルで全身を丁寧に清拭する。できれば家族にも参加を促す
  • Step3:口腔内の処置——綿球で口腔内を清潔にし、義歯がある場合は装着する
  • Step4:着替え・整容——本人や家族の希望の衣服に着替えさせ、髪を整える
  • Step5:体位の調整——仰臥位で静かに安置する。枕を高めにして顔の表情を整える
  • Step6:花や愛用品を周りに飾る——ご家族と相談しながら、故人が好んだものを傍に置く

エンゼルケアはご家族の悲嘆(グリーフ)に直接関わります。「きれいにしてあげられた」という体験が、その後の家族のグリーフワークを助けます。可能な限り家族と一緒に行い、故人のその人らしい最期を実現することで、家族が得られる心理的な安定感は大きなものとなります。

家族支援とグリーフケア——職員が果たすべき役割

看取りの現場でのご家族支援は、介護職員にとって最も難しく、最も大切な仕事のひとつです。終末期医療の進行に伴い、ご家族が抱える心理的な負担は極めて大きく、職員の寄り添った対応が安定した状態での看取りを支えます。

死を前にした家族の心理

  • 「もっと面会に来ればよかった」という罪悪感
  • 「施設に預けたせいでは」という自責の念
  • 「もっと早く気づいてほしかった」という怒りの感情
  • 「最期に立ち会えなかった」という後悔

これらは自然な感情であり、否定せずに受け止めることが基本です。「施設でできる限りのことをしました」という言葉よりも、「○○さんは今日も穏やかでした」「好きだったおやつを少し召し上がりました」という具体的な日常のエピソードが、家族の安心につながります。こうした専門的で心のこもった対応は、ご家族の人生経験の最期の時間を良いものへと変えていきます。

臨死期から死後までの家族対応チェックポイント

  • 看取り期に入ったら早めに「いつでも来ていただいて構いません」と伝える
  • 夜間・早朝でも連絡できる体制を整え、家族に案内しておく
  • 死亡後は「ゆっくりお別れの時間をお取りください」と声をかける
  • 葬儀社などへの連絡は家族が落ち着いてから(急かさない)
  • 後日、家族から話を聞く機会(グリーフ面談)を設けることも有効

死亡後の手続きフロー——職員が把握すべき流れ

利用者が施設で亡くなった後、施設職員が関わる手続きは多岐にわたります。漏れなく対応するために、フロー全体を把握しておきましょう。

死亡後の対応フロー

タイミング 対応内容 担当
死亡確認時 医師による死亡確認・死亡診断書の発行 医師
当日 家族への連絡・エンゼルケア・遺体搬送の手配 施設職員・家族
7日以内 死亡届の提出(市区町村) 家族(施設が補助)
14日以内 介護保険資格喪失届の提出(市区町村) 家族(施設が案内)
速やかに 施設退所手続き・荷物の引き渡し 施設職員・家族
速やかに ケアプランの終了処理・給付管理票の提出 ケアマネ

介護保険資格喪失届は14日以内が法定期限です。この手続きを忘れると、本来支払われるべきでない給付が発生するケースがあります。ご家族へ早めに案内することが施設側の大切な役割です。

身寄りがない利用者が亡くなった場合

身元保証人・家族がいない「おひとりさま」の利用者が施設で亡くなった場合、対応がより複雑になります。

  • 死亡診断書・死亡届:家族がいない場合、成年後見人や施設長が関与するケースがある(自治体に事前確認を)
  • 遺体の引き取り:親族が誰もいない場合、最終的に市区町村が引き取り・火葬する(行旅死亡人の手続き)
  • 遺留金品の処理:施設で預かっていた金品は、相続財産として家庭裁判所への相続財産管理人の選任申立が必要になる場合がある
  • 死後事務委任契約:事前に死後事務委任契約を結んでいれば、受任者が手続きを代行できる

身寄りなしの方の看取り事案が増えている昨今、施設として地域の行政・専門家との連携体制を事前に整えておくことが重要です。こうした準備を通じて、どのような状況下でも利用者の人生の最期を尊重した対応ができる体制を構築することが求められます。

死後事務委任契約について詳しくは、死後事務委任契約とは?わかりやすく解説|対象業務・費用・業者選びまでもあわせてご覧ください。

書類整理をしながら手続きを確認する施設職員のイラスト

よくある疑問——現場職員のQ&A

Q:看取り同意書はいつ取ればよい?

入居時のACPの説明と合わせて、看取りケアに関する同意書を取得しておくのが理想です。ただし、本人・家族の意向は変わることがあるため、定期的に意思確認を行い、都度記録に残してください。

Q:夜間に亡くなった場合、医師はすぐ来てくれるのか?

嘱託医やかかりつけ医が「往診」できる体制であれば対応可能です。ただし施設種別や契約内容によって異なります。事前に「夜間の死亡確認をどの医師・医療機関に依頼するか」を明確にし、連絡先を整備しておくことが必須です。

Q:家族から「もっと早く連絡してほしかった」と言われた

臨死期に入った時点でご家族に「いつでも来られるよう心構えをしておいてください」と伝え、連絡のタイミングの目安を事前に共有しておくことで、こうしたトラブルを防ぐことができます。また、日ごろから状態を電話やメモで細かく共有しておくことも大切です。

まとめ——「その人らしい最期」を支える施設の力

介護施設での看取りは、利用者・ご家族・職員が一体となって作り上げる、かけがえのない時間です。2024年の報酬改定でACPが必須化されたことは、「本人の意思を尊重する」という看取りの根本を制度として後押しするものです。

臨死期のサインの理解、家族への丁寧なコミュニケーション、死亡後の手続きのスムーズな対応——これらを職員全員がチームとして実践できる施設が、地域から信頼される看取り施設になれます。

身元保証のない利用者の看取り事案や、死後の手続きに関してお困りの場合は、ぜひ「つながりサポート」にご相談ください。ケアマネ・施設職員の皆さまのご支援もしております。

施設での看取り・身寄りなし対応についてご相談ください
「つながりサポート」は、介護施設と連携しながら、おひとりさまの終活・身元保証・死後事務委任をトータルサポートしています。身元保証人がいない利用者の看取り前後の対応について、無料でご相談いただけます。ケアマネ・施設職員の方からのお問い合わせも歓迎です。

身元保証人について詳しくは、身元保証人とは?役割と必要性を徹底解説もあわせてご覧ください。

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