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死後事務委任の契約から執行までの流れ|全ステップを図解で徹底解説【2026年版】
投稿日/2026.04.13 更新日/2026.04.10
カテゴリー:死後事務委任

「死後事務委任契約って聞いたことはあるけど、実際にどんな流れで進むの?」——そんな疑問をお持ちではないでしょうか。契約の手続きから、いざ亡くなった後の執行まで、一連の流れをきちんと理解しておくことが、安心して備えるための第一歩です。この記事では、死後事務委任契約の締結から費用の預託、そして実際の執行完了までの全ステップをわかりやすく解説します。
目次
死後事務委任契約とは?(おさらい)
死後事務委任契約とは、自分が亡くなった後に必要となる葬儀・行政手続き・各種契約の解約などを、生前に信頼できる第三者(受任者)に依頼しておく契約です。
通常の委任契約は委任者が亡くなると終了しますが(民法653条)、最高裁判所の平成4年9月22日判決により、「死亡後も効力を継続させる特約」の有効性が認められています。この判例を根拠として、死後事務委任契約は現在広く利用されています。
こんな方に特に有効です
- 身寄りのないおひとりさまや独居高齢者
- 子どもや家族に迷惑をかけたくない方
- 散骨・樹木葬など特定の葬儀方法を希望する方
- 内縁のパートナーや親しい友人に頼みたい方
- 親族と疎遠になっている方
契約締結の流れ(全5ステップ)
死後事務委任契約は、以下の5つのステップで進めます。通常、契約完成まで1〜3ヶ月程度かかります。
Step 1:受任者を決める
誰に死後事務を依頼するかを決めます。受任者は個人(友人・知人)のほか、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家、一般社団法人やNPO法人などの団体も選べます。重要なのは長期にわたって信頼できることと、経営が安定していることの2点です。
Step 2:委任内容を確定する
「葬儀は家族葬で」「納骨は〇〇寺へ」「SNSアカウントは削除」など、依頼する事務の内容を具体的・明確に決めます。「一般的な形で」といった曖昧な表現は後日トラブルの原因になるため避けましょう。
Step 3:契約書を作成する
契約内容を書面化します。形式には私文書と公正証書の2種類がありますが、証拠力の高さから公正証書での作成を強く推奨します。公正証書を作成する場合は、最寄りの公証役場に相談予約を入れ、公証人と内容を協議しながら書面を整えます。
Step 4:署名・公証役場での手続き
委任者・受任者の双方が公証役場に出向き、実印または本人確認書類を持参して署名・押印します。原本は公証役場に保管され、委任者には認証正本と謄本が渡されます。
Step 5:預託金を準備して預ける
死後事務の執行費用(葬儀費用・各種手続き費用など)をあらかじめ受任者または指定の口座に預けます。詳しくは後述します。

契約に必要な書類と費用
公正証書で作成する場合の必要書類と費用の目安は以下のとおりです。
| 項目 | 内容・費用目安 |
|---|---|
| 必要書類(委任者・受任者) | 実印+印鑑証明書(3ヶ月以内)、またはマイナンバーカード+認印 |
| 公証人手数料 | 約11,000円 |
| 謄本等取得費用 | 約3,000〜4,000円 |
| 専門家(行政書士)への報酬 | 30,000〜80,000円程度 |
| 専門家(司法書士・弁護士)への報酬 | 50,000〜200,000円程度 |
| 契約書の保管費用(年間) | 約6,600円(銀行貸金庫の場合) |
費用の預託方法:3つの方式
死後事務委任では、執行費用をどのように準備・管理するかが重要なポイントです。主に以下の3つの方式があります。
①預託金清算方式(最も一般的)
契約締結時に受任者へ預託金(100〜200万円が相場)を預けます。執行完了後に実際の費用を精算し、余った預託金は相続人に返還されます。シンプルで確実な方法ですが、受任者(特に民間事業者)の倒産リスクには注意が必要です。過去には大手の公益財団法人が倒産し、預託金が返還されないトラブルも発生しています。銀行の信託口座や貸金庫での保管を推奨します。
②遺産清算方式
死後事務委任契約と遺言書を同時に作成し、受任者を遺言執行者に指定します。死後事務費用は故人の遺産から清算されるため、事前の預託金が不要です。ただし遺言執行には時間がかかる場合があります。
③生命保険(少額短期保険)活用方式
葬儀保険などの少額短期保険に加入し、受取人を受任者に指定します。月々の掛け金で備えられるため、まとまった預託金を用意しにくい方に向いています。ただし保険金の範囲内でしか費用を賄えない点に留意が必要です。

亡くなった後の執行フロー
いざ委任者が亡くなった際、受任者はどのように動くのでしょうか。フェーズごとに解説します。
フェーズ1:緊急対応(死亡当日〜7日以内)
まず受任者への連絡が最優先です。葬儀の手配は死亡当日中に行うことが多いため、家族や病院から受任者への連絡が遅れると葬儀に間に合わない可能性があります。緊急連絡先の共有と体制づくりを事前に整えておくことが不可欠です。
- 死亡届の提出(死後7日以内。市区町村役場)
- 埋火葬許可申請書の取得
- 葬儀社・寺院への連絡と手配
- 健康保険証・運転免許証等の返納手続き
フェーズ2:葬儀・埋葬(死後1〜2週間)
契約書に記載された希望に沿って葬儀・告別式・火葬・納骨の手続きを進めます。散骨を希望する場合は散骨業者への手配も含まれます。
- 葬儀・告別式・火葬の実施
- 火葬許可証・埋葬許可証の取得
- 納骨・永代供養・散骨の手配
- 年金受給資格の抹消(国民年金14日以内、厚生年金10日以内)
フェーズ3:各種手続き(死後1〜3ヶ月)
生活に関わる各種契約の解約と行政手続きを順次処理します。
- 賃貸物件・老人ホームの退所・解約手続き
- 電気・ガス・水道・電話・インターネットの解約
- 医療費・施設利用料の精算
- SNSアカウント・デジタルサービスの削除
- 遺品整理・住居の片付け
- 住民税・固定資産税等の納税手続き
フェーズ4:精算・報告(死後3〜6ヶ月)
全ての事務処理が完了したら、費用の精算と相続人への報告を行います。
- 預託金から実費・報酬を控除し精算
- 剰余金を相続人に返還
- 実施した事務内容・支出明細の報告書を提出
- 相続人がいない場合は相続財産管理人の申立て
執行にかかる費用の目安
死後事務委任の執行費用は、依頼する内容によって大きく異なります。以下はあくまでも目安です。
| 事務内容 | 期間目安 | 費用目安(専門家報酬) |
|---|---|---|
| 役所への各種届出 | 1〜2週間 | 110,000円程度 |
| 葬儀・火葬手続き | 1〜2週間 | 110,000円〜 |
| 納骨・埋葬手続き | 1〜3ヶ月 | 110,000円程度 |
| 賃貸不動産の解約・明渡 | 1〜2ヶ月 | 220,000円程度 |
| 各種契約の解約・精算(1件) | 1〜3週間 | 55,000円程度 |
| 遺品整理・住居の片付け(半日) | 1日〜 | 110,000円程度 |
| SNSアカウント削除(1件) | 1〜2週間 | 22,000円程度 |
| 総額目安 | — | 50〜150万円程度 |

よくあるトラブルと対策
死後事務委任では、準備不足によるトラブルが少なくありません。事前に知っておくことで防げるものばかりです。
トラブル①:親族との意見対立
最も多いトラブルが、葬儀方法や納骨場所について親族と意見が食い違うケースです。死後事務委任契約の存在を親族が知らないまま、「自分たちが葬儀を取り仕切る」と思っていることが原因です。契約内容を生前に家族へ周知し、できれば同意を得ておくことが最大の予防策です。
トラブル②:受任者の倒産・廃業
民間の死後事務支援業者が廃業・倒産すると、預託金が返還されないリスクがあります。受任者の財務安定性を確認し、預託金は銀行の信託口座や貸金庫で保管されるよう契約に明記しましょう。
トラブル③:契約内容が曖昧
「葬儀は家族的な形で」など具体性に欠ける記載は、受任者が判断に困る原因になります。葬儀社名・納骨先・散骨場所・予算など、できる限り固有名詞と金額で明記することが重要です。
トラブル④:受任者が先に亡くなる
個人を受任者にした場合、委任者より先に受任者が亡くなるリスクがあります。後任受任者の指定や法人・団体との契約を検討しましょう。
まとめ:契約から執行まで「見える化」することが安心への近道
死後事務委任契約は、締結から執行完了まで段階的に進む仕組みです。
- 契約締結:受任者を選び、内容を具体的に決めて公正証書で作成(1〜3ヶ月)
- 費用の準備:預託金清算・遺産清算・保険活用の3方式から選択
- 執行:死後すみやかに緊急対応→葬儀→各種手続き→精算・報告(3〜6ヶ月)
大切なのは、「誰に」「何を」「どのように」依頼するかを曖昧にしないことです。漠然とした不安を具体的な備えに変えるために、まずは専門家への相談から始めてみましょう。
つながりサポートでは、死後事務委任契約の無料相談を承っております。「自分の場合はどんな内容にすればいい?」「費用の預託はどの方式が合っている?」など、ひとつひとつ丁寧にご説明します。お気軽にご連絡ください。

