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生活保護受給者の死後事務委任|葬祭扶助・公的支援制度と生前の備え方【2026年版】

投稿日/2026.04.19 更新日/2026.04.14

カテゴリー:死後事務委任

「生活保護を受けているけれど、自分が亡くなった後のことが心配」「費用がないのに死後事務委任契約は結べるのだろうか」——そんな不安を抱えている方は少なくありません。

生活保護受給者の死後事務には、通常の方とは異なる特有の問題があります。費用の捻出が難しい、資産制限がある、行政の対応に限界がある——しかし一方で、葬祭扶助制度や社会福祉協議会のサポート、NPOの低コスト支援など、公的・民間の制度をうまく活用することで、自分らしい最期を迎える準備は十分に可能です。

本記事では、生活保護受給者の死後事務に関する特有の課題から公的支援制度、実践的な生前準備まで、2026年の最新情報をもとに詳しく解説します。

生活保護受給者が死後事務委任で直面する特有の問題

生活保護受給者が死後事務委任契約を結ぼうとすると、通常の方にはない複数のハードルがあります。

費用の捻出が極めて困難

死後事務委任契約には、一般的に入会金・年間利用料・預託金(実費相当)が必要です。相場は合計で50〜150万円程度。生活保護費は最低限の生活維持のための支給であり、死後事務のために積み立てることは制度の趣旨に反します。

また、積み立てた金銭が発覚すると、資産として認定され、生活保護の停止・減額につながるリスクもあります。

受任者が費用回収できないリスク

万が一、受任者となった業者が「遺留金がない場合は実施しない」と判断した場合、契約通りに死後事務が履行されない可能性があります。契約前に、遺留財産がない場合の対応方針を必ず確認することが重要です。

ケースワーカーと高齢者が書類を確認するイラスト

葬祭扶助制度とは?内容・金額・申請方法

生活保護受給者が亡くなった場合に最も活用される公的制度が「葬祭扶助」です。生活保護法第18条第2項に基づき、自治体が最低限の葬儀費用を負担します。

支給金額(2025年度)

区分 支給金額(目安)
成人約206,000〜215,000円(自治体により異なる)
12歳未満の子ども約164,800〜172,000円(自治体により異なる)

※遺留金がある場合はまず遺留金に充当され、不足分を自治体が負担します。

葬祭扶助でカバーされる費用・されない費用

カバーされる費用 カバーされない費用
検案・遺体搬送・保管通夜・告別式の費用
棺・納棺・ドライアイス僧侶への戒名・読経料
火葬・骨壷・納骨墓石・墓地使用料
最小限の葬祭に必要な費用遺品整理・賃貸契約解除費用

申請の流れ

  1. 死亡後、速やかに故人の住所地の福祉事務所または福祉課に連絡
  2. 葬祭扶助申請書を提出(死亡診断書・身分証など)
  3. 審査・承認(通常数日以内)
  4. 承認後、指定の葬儀社が直葬を実施し、費用を自治体から直接受け取る

重要:葬祭扶助は必ず葬儀前に申請が必要です。葬儀後の申請は原則として受け付けられません。

遺留金・遺留品の法的な扱い(生活保護法の規定)

生活保護受給者の葬儀に関するイラスト

生活保護受給者が亡くなった場合、遺留金(現金・有価証券)と遺留品(家具・家電など)の扱いは生活保護法によって規定されています。

遺留金の優先充当

生活保護法第76条により、市町村は相続人より優先して遺留金を葬祭扶助費に充当する権限を持ちます。つまり、たとえ少額であっても、遺留金はまず葬儀費用に使われます。

残余遺留金の処理

  • 相続人がいる場合:相続人に通知し、相続財産として処理
  • 相続人がいない場合:相続財産管理人の選任(予納金が必要)、または供託制度を利用
  • 少額の場合:自治体が一定期間保管後、一般会計に組み入れるケースもある

厚生労働省は2021年(令和3年)に「身寄りのない方が亡くなられた場合の遺留金等の取扱いの手引」を発行し、2023年に改訂。対応の標準化が進んでいます。

行政・ケースワーカーの関わりと限界

生活保護のケースワーカーは、受給者の生活状況を把握し、死亡時の最初の連絡窓口としての役割も担います。

福祉事務所が対応すること

  • 葬祭扶助の申請受付・審査・手続き
  • 遺留金の確認・処分決定
  • 死亡届の確認(市役所との連携)
  • 生活保護受給の停止手続き
  • 低コスト支援制度(社協・NPO)の紹介

行政が対応しないこと(限界)

  • 遺品整理・賃貸物件の片付け(大家の負担になるケースが多い)
  • SNS・デジタルアカウントの削除手続き
  • 各種サービスの解約(サブスクリプションなど)
  • 希望する埋葬場所・供養方法の実現

葬祭扶助は「直葬(火葬のみ)」が基本です。遺骨は自治体が一定期間(目安5年程度)保管し、引き取り手がなければ合葬墓に納骨されます。

社会福祉協議会・NPOによる低コスト支援

費用面のハードルが高い死後事務委任契約ですが、社会福祉協議会(社協)やNPO法人が提供する低コストサービスを活用することで、費用負担を大幅に軽減できる可能性があります。

社会福祉協議会の取り組み事例

自治体・団体 サービス概要 費用目安
京都市社協単身高齢者万一あんしんサービス事業(65歳以上・低所得対象)預託金約25万円
川崎市未来あんしんサポート事業(生活保護受給者にも対応)要問合せ
各地NPO法人低所得者・生活困窮者向けの終活・死後事務支援無料〜低額

お住まいの市区町村の福祉事務所または社会福祉協議会に、利用可能な死後事務支援サービスがないか確認することを強くおすすめします。自治体によって対応が異なりますが、全国的に社協の関与が拡大しています。

生前にできる準備|費用がかからないものから始めよう

社会福祉士とともに書類を完成させ安堵する高齢者のイラスト

費用をかけなくても今すぐ実施できる準備があります。以下の順番で取り組むことをおすすめします。

ステップ1:エンディングノートの作成(費用不要)

自分の希望を書き残すエンディングノートは、市販のものを使うほか、手書きでも構いません。以下の情報を記載しておくと効果的です。

  • 葬儀の希望(直葬でよいか、希望する葬儀社はあるか)
  • 埋葬・供養の希望(合葬墓でよいか)
  • 大切な書類の保管場所
  • 解約してほしいサービス・アカウント情報
  • 連絡してほしい人の名前と連絡先

ステップ2:ケースワーカー・民生委員への相談

担当のケースワーカーや民生委員に、自分の希望と心配事を伝えておくことが重要です。死後の対応をある程度、行政側で把握しておいてもらうことで、混乱を防げます。

ステップ3:大家との事前合意書(賃貸の場合)

賃貸住宅にお住まいの場合、大家さんに「死亡後は家財処分を一任する」旨の簡単な合意書を作成しておくと、大家さんの負担が軽減され、遺品整理がスムーズになります。

ステップ4:社協・NPOへの相談

お住まいの地域の社会福祉協議会や、低所得者支援に取り組むNPO法人に相談してみましょう。低コストの死後事務支援サービスを紹介してもらえる可能性があります。

ステップ5:地域包括支援センターへの登録

地域包括支援センターに登録し、定期的な見守りを受けることで、万が一の際の迅速な対応が期待できます。身寄りがない方にとって特に重要な備えです。

よくある質問(FAQ)

Q. 生活保護を受けていると死後事務委任契約は結べませんか?

A. 法律上、契約を結ぶこと自体は可能です。ただし、費用を生活保護費から積み立てることは認められていません。社協の低コストサービスや、NPOの支援を利用することで対応できる場合があります。

Q. 葬祭扶助を使えば、希望通りの葬儀ができますか?

A. 葬祭扶助は「直葬(火葬のみ)」が基本です。通夜・告別式や僧侶への読経は対象外のため、宗教的な葬儀は行えません。ただし、式なしで火葬・納骨まで尊厳をもって行うことは可能です。

Q. 身寄りがない場合、誰が葬祭扶助を申請しますか?

A. 身寄りがない場合、大家さんや民生委員、福祉事務所のケースワーカーが発見・通報し、福祉事務所が葬祭扶助の手続きを行います。発見が遅れると対応が複雑になるため、地域とのつながりを日頃から大切にすることが重要です。

Q. 葬祭扶助の申請後、遺骨はどうなりますか?

A. 直葬後の遺骨は、引き取り手がいれば渡されます。引き取り手がない場合は市町村が一定期間保管し、その後、合葬墓(自治体の無縁仏を合同で祀る墓)に納骨されます。

まとめ:準備は「できることから」が大切

生活保護受給者であっても、死後の備えを諦める必要はありません。葬祭扶助制度という公的サポートがあり、社協・NPOによる低コスト支援も拡充されています。

まずはエンディングノートの作成とケースワーカーへの相談から始めてください。一人で抱え込まず、地域のサポートを活用することが、自分らしい最期への第一歩です。

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