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ペットの引き取り先を死後事務に含める方法|ペット信託・費用・生前準備を徹底解説【2026年版】
投稿日/2026.03.31 更新日/2026.03.31
カテゴリー:死後事務委任

「自分にもしものことがあったら、この子はどうなるのだろう」――大切なペットと暮らす方なら、一度は胸をよぎる不安ではないでしょうか。実は、60歳以上の飼い主の約8割が、死後のペットに関する準備をしていないというデータがあります。ペットは家族同然の存在ですが、法律上は「モノ」として扱われるため、飼い主が亡くなった後の行き先は自動的には決まりません。この記事では、死後事務委任契約にペットの引き取りを含める方法を中心に、ペット信託や負担付遺贈など4つの法的手段、費用の目安、生前にやっておくべき準備までを徹底解説します。愛するペットの未来を守るために、今できることを一緒に確認していきましょう。
目次
飼い主が亡くなったらペットはどうなるのか
まず知っておいていただきたいのは、ペットの法的な位置づけです。日本の民法では、ペットは「動産」、つまり相続財産の一部として扱われます。どれほど家族として愛情を注いでいても、ペット自身が相続人になることはできません。飼い主が亡くなった場合、ペットは相続財産として相続人に引き継がれることになります。
しかし、相続人が必ずしもペットを引き取れるとは限りません。住環境やアレルギー、経済的な事情などから飼育を断られるケースは少なくないのが現実です。
2013年の動物愛護管理法改正により、保健所は飼い主からの引き取りを原則拒否できるようになりました。行き場を失ったペットが保護されたとしても、令和5年度の殺処分数は犬猫合計で約9,017頭にのぼります。また、孤独死の現場では約60%にペットの形跡があるとの報告もあり、飼い主の突然の死によってペットが長期間放置されるという痛ましい事態も起きています。
こうした現実を踏まえると、「元気なうちに」ペットの将来を考えておくことがいかに大切かがお分かりいただけるのではないでしょうか。
ペットを守る4つの法的手段
飼い主の死後にペットを確実に守るためには、法的な仕組みを活用することが重要です。ここでは代表的な4つの方法をご紹介します。
死後事務委任契約
死後事務委任契約とは、自分が亡くなった後に行ってほしい事務手続きを、生前に第三者へ委任しておく契約です。この契約の中に「ペットの引き取り・移送」を含めることで、死後すみやかにペットを指定の引き取り先へ届けてもらうことができます。飼育費用をあらかじめ預託金として預けておけば、引き取り先の経済的負担も軽減できます。公正証書で作成しておくと、より確実に実行されるため安心です。
ペット信託
ペット信託は、信託法に基づいて「委託者(飼い主)」「受託者(財産管理者)」「受益者(ペットの飼育者)」の三者構造で、ペットの飼育費用と飼育そのものを確保する仕組みです。大きなメリットは、飼い主が認知症になった場合にも対応できる点です。生前から信託が発動するため、判断能力が低下した後もペットの世話が継続されます。費用は初期設定で10〜20万円程度、飼養費として50〜100万円程度が目安です。三井住友信託銀行では44万円・99万円のプランも提供されています。
負担付遺贈
遺言書の中で、「ペットを飼育すること」を条件に特定の方へ財産を遺贈する方法です。飼い主が単独で遺言書に記載できるため手軽ですが、受遺者(財産を受け取る方)が遺贈を放棄できるというリスクがあります。事前に相手の同意を得ておくことが大切です。
負担付死因贈与
飼い主と引き取り手の間で「飼い主の死後にペットを飼育する代わりに、財産を贈与する」という契約を生前に結ぶ方法です。契約であるため双方の合意が必要ですが、その分法的な拘束力が強く、一方的な放棄がしにくいという利点があります。
4つの制度を比較
| 制度 | 法的拘束力 | 生前の効力 | 認知症対応 | 費用目安 |
|---|---|---|---|---|
| 死後事務委任契約 | 中(契約) | なし(死後に発動) | △(別途対策が必要) | 10〜30万円+預託金 |
| ペット信託 | 高(信託法) | あり(生前から発動可) | ◎(対応可能) | 初期10〜20万円+飼養費50〜100万円 |
| 負担付遺贈 | 低(放棄可能) | なし(死後に発動) | ×(遺言能力が必要) | 遺言書作成費3〜10万円 |
| 負担付死因贈与 | 高(契約) | なし(死後に発動) | ×(契約時に判断能力が必要) | 契約書作成費5〜15万円 |

ペットの引き取り先の選択肢と費用
法的な手段を整えたら、次に考えるべきは「誰にペットを託すか」です。引き取り先にはいくつかの選択肢があり、それぞれ特徴と費用が異なります。
| 引き取り先 | メリット | デメリット | 費用目安 |
|---|---|---|---|
| 家族・親族 | ペットが慣れやすい | 飼育環境や意思の確認が必要 | 飼育実費のみ |
| 友人・知人 | 信頼関係がある | 長期飼育の負担が大きい | 飼育実費+お礼 |
| 里親募集(保護団体経由) | 新しい家庭が見つかる可能性 | 高齢ペットは難しい場合も | 譲渡費用数万円程度 |
| NPO団体 | 専門的なケアが受けられる | 空きがない場合がある | 入会金10万円+月額1,000円+終身飼育費100万円〜 |
| 老犬・老猫ホーム | 終身飼育が可能 | 費用が高額になりやすい | 年間約57万円/終身一括106〜159万円 |
老犬・老猫ホームの費用は、小型犬で終身一括約106万円、大型犬で約159万円が相場です。年間費用では平均約57万円となっています。NPO「ペット後見互助会とものわ」のように、入会金+月額+終身飼育費というプランを提供している団体もあります。
なお、犬の生涯費用は約278万円、猫は約160〜180万円といわれています。引き取り先への預託金を考える際の参考にしてください。
死後事務委任契約にペットを含める際の記載ポイント
死後事務委任契約にペットの項目を盛り込む場合、以下の点を具体的に記載しておくことが重要です。あいまいな内容では、いざというときにスムーズに対応できない可能性があります。
- ペットの特定情報:種類、品種、名前、年齢、マイクロチップ番号、特徴など
- 引き取り先の指定:第一候補と第二候補を明記し、連絡先も記載する
- 飼育費用の預託:引き取り先への飼育費用として預託する金額と、その管理方法を定める
- かかりつけ動物病院の情報:病院名、住所、電話番号、担当獣医師名、持病や投薬情報
- 飼育上の注意事項:食事の内容・量・回数、散歩の頻度、性格の特徴など
- 公正証書での作成:法的な実効性を高めるために、公正証書化を強く推奨
特に、引き取り先は必ず第二候補まで指定しておきましょう。第一候補の方が健康上の理由などで引き取れなくなるケースは珍しくありません。また、預託金の金額は引き取り先の方と事前に話し合い、ペットの年齢や健康状態を考慮して決めることが大切です。

飼い主が生前にやっておくべき5つの準備
法的な手段を活用するだけでなく、日頃からできる準備を進めておくことで、ペットの安全をより確実なものにできます。
1. 引き取り先の確保と合意
家族や友人に「もしものときにペットをお願いしたい」と伝え、書面で合意を得ておきましょう。口約束だけでは、いざというときに実行されないリスクがあります。複数の候補を確保しておくことも大切です。
2. エンディングノートにペット情報を記載
ペットの名前、年齢、性格、食事、投薬、かかりつけ病院などの情報をエンディングノートにまとめておきましょう。緊急時に誰が見ても対応できるようにしておくことがポイントです。
3. 飼育資金の準備
ペットの残りの寿命を見積もり、必要な飼育費用を計算して確保しておきましょう。犬なら年間約20万円、猫なら年間約15万円程度が目安です。医療費も考慮に入れてください。
4. ペット信託または死後事務委任契約の締結
専門家(司法書士・行政書士・弁護士)に相談し、ご自身の状況に合った法的手段を選んで契約を結びましょう。認知症リスクが気になる方はペット信託、費用を抑えたい方は死後事務委任契約がおすすめです。
5. 年1回の見直し
ペットの年齢や健康状態、引き取り先の状況は変化します。年に1回は契約内容やエンディングノートの情報を見直し、必要に応じて更新しましょう。

トラブル事例と注意点
ペットに関する死後のトラブルは、残念ながら実際に起きています。事例を知ることで、対策の重要性をあらためて感じていただけるはずです。
実際に起きたトラブル事例
- 64歳の男性が孤独死し、愛犬2匹が約3週間にわたって放置された
- 60代のブリーダーが孤独死し、飼育していた猫9匹のうち2匹が死亡した
- 多頭飼育崩壊により、20匹の猫が飼い主亡き後に取り残された
いずれも飼い主の急な死亡や発見の遅れが原因です。おひとりさまの方は特に注意が必要で、「発見が遅れる」「緊急連絡先がない」という二重のリスクを抱えています。
すぐにできる対策
- 「ペットがいます」ステッカーを玄関に貼る:救急隊員や近隣の方にペットの存在を知らせる
- 緊急連絡カードを財布やスマートフォンに入れておく:ペットの情報と引き取り先の連絡先を記載
- 見守りサービスや地域の見守り活動に参加する:異変の早期発見につなげる
70代以上の方の犬飼育率は8.9%、猫飼育率は7.6%と決して少なくありません。年齢を重ねるほど、万が一への備えは早めに整えておきたいところです。
よくある質問(FAQ)
Q. ペットを遺言書で相続人にすることはできますか?
A. できません。日本の法律ではペットは「動産」として扱われるため、相続人にはなれません。ただし、負担付遺贈や負担付死因贈与を活用することで、ペットの飼育を条件として特定の方に財産を渡す仕組みをつくることは可能です。
Q. ペット信託の費用はどのくらいかかりますか?
A. 信託の初期設定費用として10〜20万円程度、ペットの飼養費用として50〜100万円程度が目安です。三井住友信託銀行では44万円と99万円のプランが用意されています。ペットの種類や年齢、飼育期間によって必要額は変わりますので、専門家に相談されることをおすすめします。
Q. ペットと一緒に入れる老人ホームはありますか?
A. あります。ただし、ペット可の老人ホームは全体の約5%とまだ少数です。近年は増加傾向にありますので、早めに情報収集を始めておくとよいでしょう。入居条件や飼育できるペットの種類に制限がある場合もありますので、事前に確認が必要です。
Q. 猫の生涯費用はどのくらいですか?
A. 猫の生涯費用は約160〜180万円といわれています。食費、医療費、トイレ用品、保険料などが含まれます。引き取り先への預託金を計算する際の参考にしてください。なお、犬の場合は約278万円が目安です。
まとめ
飼い主に万が一のことがあっても、大切なペットが安心して暮らし続けられるようにするためには、生前の準備が欠かせません。
死後事務委任契約にペットの引き取りを含める方法、ペット信託、負担付遺贈、負担付死因贈与――それぞれに特徴がありますので、ご自身の状況に合った手段を選ぶことが大切です。特に、おひとりさまの方や高齢の飼い主の方は、早めの準備が愛するペットの命を守ることにつながります。
まずは、エンディングノートにペットの情報を書き出すことから始めてみてはいかがでしょうか。小さな一歩が、大きな安心につながります。
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