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おひとりさまの医療・介護の意思決定ガイド|リビングウィルの書き方・人生会議・費用を徹底解説【2026年版】

投稿日/2026.03.30 更新日/2026.03.30

カテゴリー:おひとりさま向け情報

「もしも重い病気になったとき、延命治療はどうしたいのか」「意識がなくなったら、誰が自分の代わりに医療の判断をしてくれるのか」——身寄りのないおひとりさまにとって、終末期の医療や介護に関する意思決定は、避けて通れない重要なテーマです。

厚生労働省の調査によると、人生の最終段階の医療について「詳しく話し合ったことがある」と答えた一般国民はわずか1.5%。リビングウィル(生前の意思表示書)の所持率も約3%にとどまっています。特におひとりさまは、意思を伝える家族がいないからこそ、元気なうちに自分の希望を形にしておくことが不可欠です。

この記事では、リビングウィルの書き方から人生会議(ACP)の進め方、公的支援制度、そしておひとりさま特有の医療同意問題への対策まで、2026年の最新情報を交えて徹底的に解説します。


目次

リビングウィルとは?|基本と法的位置づけ

リビングウィル(Living Will)とは、回復の見込みがない終末期において、延命治療を希望するかどうかを事前に書面で表明するものです。「生前の意思表明書」「尊厳死の宣言書」とも呼ばれます。

日本では法的拘束力がない

重要なポイントとして、日本ではリビングウィルに法的拘束力がありません。あくまで本人の意思を示す「参考資料」という位置づけで、最終的には医師の医学的判断が優先される場合があります。

アメリカでは1990年に「患者自己決定法」が制定されリビングウィルに法的拘束力が認められており、ドイツでも2009年に法制化されています。日本でも2012年に超党派の国会議員連盟が法案を検討しましたが、いまだ国会への提出には至っていません。

ただし、法的拘束力がないからといって無意味というわけではありません。日本尊厳死協会の調査では、リビングウィルを提示された医師の約95%が内容を尊重して対応しており、書面にしておくことの実効性は高いといえます。

リビングウィルと事前指示書・ACPの違い

用語 内容 特徴
リビングウィル 延命治療の希望・拒否を書面で表明 本人だけでも作成可能
事前指示書(AD) 治療の意思表示+医療代理人の指定 代理人の署名が必要
ACP(人生会議) 本人・家族・医療者が繰り返し話し合うプロセス 文書だけでなく対話を重視

リビングウィルは治療の意思表示のみですが、事前指示書はそこに医療代理人の指定を加えたもの。ACP(アドバンス・ケア・プランニング/人生会議)は文書作成に留まらず、本人の価値観や人生観を含めて話し合う継続的なプロセスです。おひとりさまは特に、事前指示書で医療代理人を指定しておくことが重要です。

かかりつけ医と終末期医療について相談するイメージ

延命治療の種類と意思表示のポイント

リビングウィルを書くにあたり、まず知っておきたいのが延命治療の種類です。それぞれの処置について「希望する/しない」を判断するための基礎知識を整理します。

延命治療の種類 内容 注意点
心肺蘇生(CPR) 心臓マッサージ・AED・人工呼吸 DNAR指示で「行わない」と表明可能
人工呼吸器 機械で酸素を肺に送る 一度装着すると取り外しが極めて困難
胃ろう(PEG) 胃に穴を開けチューブで栄養補給 手術が必要、月額5万円〜
経鼻経管栄養 鼻からチューブで栄養を送る 患者の不快感が大きい
人工透析 血液中の老廃物を機械で除去 週3回・1回4時間が一般的
中心静脈栄養 太い静脈から高カロリー栄養液を投与 感染リスクに注意

特に注意すべきは人工呼吸器です。一度装着すると現在の日本では取り外すことがほぼ不可能で、2008年には人工呼吸器を外した医師が殺人罪で書類送検された事例もあります(後に不起訴)。「装着するかどうか」を事前に明確にしておくことが極めて重要です。


リビングウィルの書き方|記載すべき5つの項目

リビングウィルは無料のテンプレートを使えば、誰でもすぐに作成を始められます。主な記載項目は以下の5つです。

1. 延命治療に関する意思表示

心肺蘇生、人工呼吸器、胃ろう、経鼻経管栄養、人工透析、点滴などの各項目について、「希望する/希望しない」をチェックします。

2. 痛みの緩和に関する希望

「苦痛を極力なくしてほしい」「緩和ケアを優先してほしい」など、痛みや苦しみへの対応の希望を記載します。

3. 療養場所の希望

最期を迎えたい場所(病院、自宅、介護施設、ホスピスなど)を記載します。

4. 代理判断者の指定

自分で判断できなくなった場合に、代わりに意思を伝えてくれる人の氏名・連絡先を記載し、署名をもらいます。おひとりさまの場合は、信頼できる友人、NPO法人の担当者、任意後見受任者などを指定できます。

5. その他の希望

臓器提供の意思、宗教上の配慮、葬儀の希望などを自由記述で残します。

作成後は必ず「かかりつけ医に共有」してください。カルテに記録してもらうことで、緊急時にも確認が可能になります。また、考えが変わることは自然なことなので、年に1回は見直しましょう。

人生会議で医療の希望を話し合うイメージ

おひとりさま特有の医療同意問題と対策

おひとりさまが終末期の医療で最も困るのが、「誰が自分の代わりに医療の判断をしてくれるのか」という問題です。

成年後見人に医療同意権はない

意外に知られていませんが、成年後見人(法定・任意とも)には医療同意権が認められていません。入院契約や医療費の支払いなどの「法律行為」はできますが、手術や延命治療への同意は後見人の権限外です。2026年に予定されている成年後見制度の大改正でも、医療同意権の付与は見送られる見通しです。

病院・施設の入院拒否問題

病院の27%、介護施設の36.5%が、保証人がいないことを理由に入院・入所を断った経験があるという調査結果があります。厚生労働省は2018年に「身元保証人がいないことのみを理由に入院を拒否することは医師法第19条(応召義務)に違反する」と通知していますが、現場では依然として課題が残っています。

おひとりさまが取るべき5つの対策

  • リビングウィル(事前指示書)を作成し、かかりつけ医にカルテ記録してもらう
  • 信頼できる人を医療代理人に指定し、事前指示書に署名をもらう
  • 任意後見契約を締結し、医療に関する意向を書面で託す
  • 身元保証サービスを利用して、入院時の身元引受人を確保する
  • 意思表示カードを常時携帯し、緊急搬送時に提示できるようにする

人生会議(ACP)の進め方|おひとりさまでもできる

厚生労働省が推進する「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)」は、もしもの時にどのような医療・ケアを望むかを事前に話し合う取り組みです。毎年11月30日は「人生会議の日」(いい看取り・看取られ)に制定されています。

「家族がいなくてもできる」のがACPの大きな変化

2018年のガイドライン改訂で、意思推定者の対象が「家族」から「家族等(親しい友人等)」に拡大されました。つまり、家族がいないおひとりさまでも、親しい友人やケアマネジャー、かかりつけ医などと人生会議を行うことができます。

おひとりさまの人生会議の進め方

  • 自分の価値観を整理する(何を大切にして生きたいか、どんな最期を迎えたいか)
  • 信頼できる人(友人、ケアマネ、かかりつけ医、NPO担当者など)に声をかける
  • 延命治療・療養場所・苦痛緩和について具体的に話し合う
  • 話し合った内容を書面に記録し、参加者全員で共有する
  • 体調や考えの変化に応じて、定期的に見直す(年1〜2回推奨)
意思表示カードを持つ安心のイメージ

任意後見契約・死後事務委任契約との賢い組み合わせ方

おひとりさまが医療の意思決定を万全に備えるなら、リビングウィルだけでなく、関連する契約を組み合わせて「生前から死後まで」をカバーする体制を整えることが理想的です。

おひとりさまの「安心4点セット」

契約・書類 効力の期間 主な内容
見守り契約 契約時〜判断能力低下時 定期的な安否確認・生活相談
任意後見契約 判断能力低下時〜死亡時 財産管理・身上監護・医療の意向伝達
リビングウィル(事前指示書) 終末期 延命治療の意思表示・医療代理人の指定
死後事務委任契約 死亡時〜事務完了時 葬儀・納骨・届出・家財処分

この4つを組み合わせることで、元気なうちから万が一の時、そして死後の手続きまで切れ目なくカバーできます。任意後見受任者にリビングウィルの内容を伝えておけば、自分で判断できなくなった場合にも医療チームに意思を伝えてもらうことが可能です(法的な医療同意権はありませんが、本人の意思推定者として重要な役割を果たします)。

4点セットの公正証書作成にかかる公証人手数料は合計約4万〜5万円。専門家報酬を含めると15万〜40万円程度が目安ですが、将来のトラブル防止と安心のための投資と考えると、決して高くはない金額です。

リビングウィル作成の費用と方法

方法 費用 特徴
自分で作成(無料テンプレート) 無料 松本市医師会等がPDFを公開
日本尊厳死協会に登録(年会費) 年額2,000円 会員証発行・保管・医師ネットワーク
日本尊厳死協会(終身会員) 70,000円 一括払いで更新不要
尊厳死宣言公正証書 11,000円 公証人の確認で証明力が高い
行政書士に依頼 3万〜10万円 原案作成をサポート
司法書士に依頼 5万〜15万円 任意後見契約とセットも可能
弁護士に依頼 10万〜30万円 法的アドバイス込み

まずは無料テンプレートで書き始めるのがおすすめです。内容が固まったら、より確実にするために尊厳死宣言公正証書(11,000円)を作成するとよいでしょう。公証人が本人の意思を確認するため、第三者への証明力が格段に高まります。

おひとりさまが万全の備えをする場合は、任意後見契約+死後事務委任契約+尊厳死宣言公正証書の3点セットを検討しましょう。公証人手数料は合計33,000円程度、専門家への報酬を含めると10万〜30万円程度が目安です。


よくある質問(FAQ)

Q1. リビングウィルは一度書いたら変更できませんか?

いつでも変更可能です。体調の変化、家族構成の変化、医療技術の進歩などに応じて、年に1回は内容を見直すことが推奨されています。考えが変わるのは自然なことですので、新しい書面を作成すれば以前のものは無効になります。

Q2. 救急搬送されたとき、リビングウィルは尊重されますか?

119番通報があった場合、救急隊は法令上、必要な処置を行い搬送する義務があります。ただし近年は、東京消防庁や愛知県など一部の地域で、かかりつけ医との連携のもと心肺蘇生を中止できるガイドラインが整備されてきています。意思表示カードを携帯し、かかりつけ医にリビングウィルを共有しておくことが大切です。

Q3. 家族がいなくても医療代理人を指定できますか?

はい。2018年の厚生労働省ガイドライン改訂により、意思推定者は「家族等(親しい友人等)」に拡大されました。信頼できる友人、NPO法人の担当者、任意後見受任者などを代理人に指定できます。

Q4. リビングウィルはどこに保管すべきですか?

原本はかかりつけ医に預けてカルテに記録してもらい、コピーを自宅の目立つ場所(冷蔵庫の扉など)に貼っておくのが効果的です。また、お薬手帳に挟める携帯カードを作成し、常時持ち歩くことをおすすめします。


救急搬送時の意思表示|おひとりさまが備えるべきこと

おひとりさまにとって、救急搬送時に自分の意思をどう伝えるかは切実な問題です。意識がない状態で搬送された場合、リビングウィルの存在を誰も知らなければ、望まない延命治療が行われてしまう可能性があります。

救急隊のDNAR対応ガイドラインの整備状況

DNAR(Do Not Attempt Resuscitation)とは、心肺停止時に心肺蘇生を行わないことを事前に表明する指示です。近年、各自治体で救急搬送時のDNAR対応ガイドラインの整備が進んでいます。

東京消防庁では、以下の4条件をすべて満たす場合に心肺蘇生の中止が認められます。

  • ACP(人生会議)が行われている成人の心肺停止であること
  • 人生の最終段階にあること
  • 本人が心肺蘇生を望まないことが確認できること
  • 想定されていた症状と現在の症状が合致すること

愛知県でも2021年にガイドラインが策定され、かかりつけ医への連絡・確認を前提に蘇生中止が可能になっています。大阪府でも同様の取り組みが検討されており、今後全国的に広がることが期待されます。

おひとりさまが実践すべき救急時の備え

  • 意思表示カードを保険証やお薬手帳と一緒に常時携帯する
  • 自宅の冷蔵庫の扉にリビングウィルのコピーを貼っておく(救急隊員が確認しやすい場所)
  • かかりつけ医にリビングウィルを預け、カルテに記録してもらう
  • 任意後見受任者や身元保証サービスの緊急連絡先を意思表示カードに記載する
  • 見守りサービスを利用し、異変時に迅速に対応できる体制を整える

大阪で活用できるACP・リビングウィル支援制度

大阪府・大阪市では、人生会議(ACP)の普及に力を入れています。おひとりさまが活用できる支援制度・窓口をまとめました。

大阪府の取り組み

  • 漫画冊子「みんなの人生会議」(全26ページ)を無償配布。患者と看護職の対話を描いた物語形式で、ACPをわかりやすく学べる
  • パンフレット「だから今、人生会議」(A4冊子8ページ+記録シート付き)を無償提供
  • アニメーション動画をYouTubeで公開(字幕版あり)
  • 問い合わせ先:大阪府保健医療企画課 在宅医療推進グループ(TEL: 06-6944-6025)

大阪市の取り組み

  • 毎年11月を「ACP強化月間」に設定し、全24区で講演会・映画上映・イベントを実施
  • 大阪メトロ22駅に啓発ポスターを掲示
  • 天王寺区では「もしもの時に伝えるカード」を作成・配布。緊急連絡先と医療の希望を記載し、保険証と一緒に携帯できる
  • 東成区では区版ACP手引き「豊かな人生とともに」(基本編・応用編)を配布
  • 問い合わせ先:大阪市健康局健康推進部(TEL: 06-6208-9940)

相談できる窓口一覧

窓口 相談内容 連絡先
地域包括支援センター 医療・介護全般の総合相談 各区に設置(月〜金 9:00〜19:00)
大阪市社会福祉協議会 あんしんさぽーと事業(金銭管理・書類預かり) 各区の社協窓口
日本尊厳死協会 関西支部 リビングウィル登録・相談 03-3818-6563(本部)
法テラス大阪 任意後見契約の法律相談 0570-078374

2026年の最新動向|成年後見制度改正と医療意思決定

2026年は、おひとりさまの医療意思決定に関わる制度が大きく動く年です。

成年後見制度の大改正(2026年通常国会)

法制審議会で検討が進んでいた成年後見制度の改正案が、2026年通常国会に提出される見通しです。主な改正ポイントは以下の通りです。

  • 後見・保佐・補助の3類型を「補助」に一本化し、個別具体的な支援設計へ転換
  • 有効期間の設定が可能になり、目的達成後に終了できる柔軟な仕組みへ
  • 後見人の交代がより容易に
  • 法定後見と任意後見の併存が認められる

ただし、成年後見人への医療同意権の付与は今回の改正でも見送られる見通しです。医療同意は「立法的な対応が求められている分野」として今後の検討課題に位置づけられています。このため、おひとりさまは引き続きリビングウィルや事前指示書による自己防衛が不可欠です。

診療報酬改定によるACP推進

令和6年度の診療報酬改定では、すべての在宅医療支援診療所・病院に対して、厚労省ガイドラインに基づく意思決定支援指針の作成が義務化されました。これにより、かかりつけ医とACPを行う環境がこれまで以上に整備されています。

Q5. リビングウィルと遺言書は違うものですか?

はい、全く異なる書類です。リビングウィルは終末期の医療に関する意思表示で、生きている間に効力を発揮します。一方、遺言書は死後の財産分配に関する法的文書です。おひとりさまの場合、両方を準備しておくことが理想的です。リビングウィルで「どう生きたいか」を、遺言書で「残した財産をどうしたいか」をそれぞれ形にしましょう。

Q6. 認知症になってからでもリビングウィルは作れますか?

リビングウィルの作成には、自分の意思を理解し判断する能力(意思能力)が必要です。認知症が進行して判断能力が著しく低下した場合は、有効なリビングウィルの作成は困難です。だからこそ、判断能力が十分なうちに早めに作成しておくことが重要です。軽度認知障害(MCI)の段階であれば、医師の立ち会いのもとで作成できる可能性があります。

まとめ:おひとりさまの医療の意思決定は「元気なうちに書面で残す」

おひとりさまにとって、終末期の医療や介護に関する意思決定は、家族がいる方以上に事前の準備が重要です。リビングウィルや事前指示書を作成し、信頼できる人を医療代理人に指定し、かかりつけ医と共有しておくこと。この3つのステップが、万が一のときに自分の希望通りの医療を受けるための最善の備えです。

まずは無料テンプレートでリビングウィルを書いてみることから始めましょう。完璧でなくてもかまいません。「自分の希望を形にする」という第一歩を踏み出すことが大切です。

「つながりサポート」では、おひとりさまの医療意思決定から任意後見契約、死後事務委任まで、ワンストップでご相談いただけます。リビングウィルの作成サポートや人生会議のお手伝いも行っていますので、まずはお気軽にご相談ください。

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