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死後事務委任契約が必要な7つのケース|対象者・具体例・費用をわかりやすく解説【2026年版】
投稿日/2026.03.16 更新日/2026.03.28
カテゴリー:死後事務委任

「自分が亡くなった後、葬儀は誰が出してくれるのだろう」「賃貸の退去手続きやスマホの解約は、誰がやってくれるのだろう」——。
一人暮らしの方や身寄りのない方にとって、こうした不安はとても身近なものです。実は、家族がいる方であっても「子どもに負担をかけたくない」「家族が遠方に住んでいて頼れない」と悩んでいるケースは少なくありません。
こうした「死後の事務手続き」を、信頼できる第三者に生前から委任しておく仕組みが「死後事務委任契約」です。
この記事では、死後事務委任契約が特に必要となる7つの具体的なケースを中心に、契約の基本、遺言書との違い、費用の目安、注意点まで徹底解説します。「自分に必要かどうかわからない」という方も、ぜひチェックしてみてください。

目次
死後事務委任契約とは?基本をわかりやすく解説
死後事務委任契約の定義
死後事務委任契約とは、自分が亡くなった後に発生するさまざまな事務手続きを、信頼できる第三者(受任者)にあらかじめ委任しておく契約のことです。契約は生前に締結しますが、効力が発生するのは委任者の死亡後です。
受任者には、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家のほか、NPO法人・一般社団法人・社会福祉協議会、信頼できる友人・知人などを指定できます。契約は書面で作成するのが一般的で、公正証書にしておくと法的安定性がさらに高まります。
委任できる事務の具体例
| 分類 | 具体的な事務内容 |
|---|---|
| 葬儀・埋葬 | 遺体の引き取り、通夜・葬儀の手配、火葬、納骨・永代供養の手配 |
| 行政手続き | 死亡届の提出、年金受給資格の抹消届、健康保険証・運転免許証の返還 |
| 契約の解除・精算 | 賃貸住宅の解約・明け渡し、水道光熱費・公共料金の精算・解約、携帯電話の解約 |
| 医療・施設 | 入院費・施設利用料の精算、病室・居室の明け渡し |
| デジタル遺品 | SNSアカウントの削除、サブスクリプションの解約、スマホ・PCのデータ削除 |
| その他 | 遺品整理、ペットの引き継ぎ、関係者への死亡通知、クレジットカードの解約 |
委任できないこと
死後事務委任契約では、財産の分配や相続に関することは対象外です。銀行口座の解約、不動産の名義変更、相続財産の分配などは「遺言書」の領域となります。死後事務委任契約と遺言書はカバーする範囲が異なるため、セットで準備するのが理想的です。
死後事務委任契約が必要な7つのケース
死後事務委任契約は「おひとりさま」だけのものではありません。以下の7つのケースに当てはまる方は、契約の検討を強くおすすめします。

ケース1|身寄りがなく一人暮らしの方
配偶者もおらず、子どもや兄弟姉妹もいない(または既に亡くなっている)方は、最も死後事務委任契約が必要な対象者です。
身寄りがない方が亡くなった場合、自治体は墓地埋葬法に基づく火葬・埋葬のみを行います。葬儀の手配、遺品整理、賃貸住宅の退去手続き、各種契約の解約など、それ以外の死後事務は一切対応してくれません。契約がなければ、これらが全て放置される可能性があります。
ケース2|家族はいるが高齢・病気で頼れない方
兄弟姉妹や甥姪がいても、本人と同様に高齢であったり、病気療養中で事務処理が難しいケースは多くあります。「家族がいるから大丈夫」と安心していても、いざという時に対応できる状態とは限りません。高齢の親族に葬儀の手配や各種解約手続きの負担をかけることは、現実的に無理がある場合が多いのです。
ケース3|家族や親族と疎遠・絶縁している方
法律上の相続人がいても、長年連絡を取っていない、絶縁状態にある、といったケースです。疎遠な親族に死後の手続きを期待するのは難しく、仮に連絡がついても本人の希望通りに事務が行われるとは限りません。
また、突然の連絡に対応してくれない親族も少なくありません。「いざという時に頼める人がいるかどうか」を冷静に見極めることが大切です。
ケース4|内縁関係・事実婚・同性パートナーがいる方
法律婚をしていないカップルの場合、パートナーが亡くなっても法的には「他人」扱いとなり、原則として死後事務を行う権限がありません。葬儀費用を故人の遺産から支出することもできません。
死後事務委任契約を結んでおけば、パートナーに葬儀の手配や各種手続きを正式に委任できます。同性カップルの場合は特に重要で、遺言書と併せて作成しておくことが強く推奨されます。
ケース5|子どもに迷惑をかけたくないと考える方
子どもがいても、「死後の面倒な手続きで負担をかけたくない」と考える方は多くいます。特に子どもが遠方に住んでいる、仕事が忙しい、経済的に余裕がないといった場合、死後事務を全て任せるのは大きな負担です。
専門家に死後事務を委任しておけば、子世代は精神的・時間的な負担から解放され、落ち着いて故人を偲ぶことができます。これは「子どもへの思いやり」としての終活です。
ケース6|葬儀や埋葬に特別な希望がある方
「家族葬にしてほしい」「散骨してほしい」「特定の寺院で供養してほしい」「直葬でいい」など、葬儀・埋葬に具体的な希望がある方は、死後事務委任契約に明記しておく必要があります。
遺言書の「付言事項」にこれらを書くこともできますが、法的拘束力はありません。確実に希望を実現するなら、死後事務委任契約で受任者に具体的に委任しておくことが不可欠です。
ケース7|ペットを飼っている一人暮らしの方
飼い主が亡くなった後、ペットの世話をしてくれる人がいなければ、ペットも路頭に迷ってしまいます。死後事務委任契約で「特定の施設や人にペットを引き渡す」「引き渡しまでの一時預かりを手配する」といった内容を明記しておけば、大切なペットの行き先を確保できます。
死後事務委任契約がないとどうなる?放置した場合のリスク
遺体の引き取り手がいない場合
身寄りがない方が亡くなった場合、自治体が行うのは墓地埋葬法に基づく最低限の火葬・埋葬のみです。個別の葬儀は行われず、遺骨は一定期間保管された後、無縁納骨堂に合葬されるケースがほとんどです。
賃貸住居・公共料金の放置リスク
退去手続きを行う人がいなければ、家賃が払われ続ける、原状回復が行われない、大家に多大な負担がかかるといった問題が発生します。これは近年、高齢者の賃貸入居拒否が増えている原因の一つでもあります。
デジタル遺品が処理されない問題
SNSアカウント、メールアカウント、サブスクリプションサービスなどが放置され続けます。課金が止まらない、個人情報が残り続けるといったリスクがあります。
自治体の対応には限界がある
「役所がなんとかしてくれる」と思っている方もいますが、自治体が対応できるのは火葬・埋葬のみ。遺品整理、契約解除、デジタル遺品の処理といった事務は一切行ってくれません。だからこそ、生前に自分で備えておくことが必要なのです。
遺言書・任意後見制度との違いを比較表で整理

死後事務委任契約は、遺言書や任意後見契約とは役割が異なります。それぞれカバーする領域が違うため、組み合わせて使うのが最も効果的です。
| 項目 | 死後事務委任契約 | 遺言書 | 任意後見契約 |
|---|---|---|---|
| 効力の発生 | 死亡後 | 死亡後 | 生前(判断能力低下後) |
| 主な対象 | 葬儀、行政届出、契約解除、遺品整理などの「事務手続き」 | 相続財産の分配、遺贈など「財産の承継」 | 財産管理、身上監護(介護・医療の手配など) |
| 対応できないこと | 財産の分配・承継 | 葬儀の手配や契約解除等(法的拘束力なし) | 死後の事務(死亡時に契約終了) |
| 作成形式 | 書面(公正証書推奨) | 自筆証書・公正証書 | 公正証書(必須) |
「終活4点セット」で切れ目のない備えを
専門家が推奨するのは、以下の4つを組み合わせた備えです。
- 見守り契約:元気なうちからの安否確認・生活相談
- 任意後見契約:判断能力が低下した後の財産管理・身上監護
- 遺言書:死後の財産承継
- 死後事務委任契約:死後の事務手続き全般
この4つがあれば、「元気な時期→判断能力低下後→死亡後」のすべてのフェーズを切れ目なくカバーできます。
死後事務委任契約の費用相場と依頼先
費用の目安
| 費用項目 | 相場 |
|---|---|
| 契約書作成(専門家報酬) | 5万〜30万円 |
| 公正証書作成手数料 | 約1万4,000円 |
| 死後事務の執行報酬 | 30万〜100万円 |
| 預託金(葬儀・遺品整理等の実費) | 100万〜200万円程度 |
※預託金は葬儀の規模や遺品整理の範囲によって大きく変動します。直葬であれば15〜25万円程度に抑えられます。
依頼先の選択肢
- 行政書士・司法書士・弁護士:法的な正確性が高く、紛争リスクがある場合は弁護士が安心
- 社会福祉協議会:低費用だが、対象者の条件が限定的(身寄りがない方、同一地域の居住者など)
- NPO法人・一般社団法人:身元保証や見守りとセットで提供するところが多い
- 身元保証サービス事業者:見守り+身元保証+死後事務をワンストップで対応
信頼できる事業者を見極める3つのポイント
- 預託金の管理方法:信託銀行での分別管理が行われているか
- 解約条件・返金規定:契約前に必ず確認する
- 政府ガイドラインへの準拠:2024年6月策定の「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」に沿った運営をしているか
死後事務委任契約のトラブル事例と予防策

よくあるトラブル
- 預託金の流用・返還不能:受任法人が経営破綻し、預けた資金が回収できなくなるケース。2016年には大手公益財団法人が約2億7,400万円の預託金を流用し破産した事例があります
- 相続人との対立:相続人が契約の存在を知らず、受任者の行為に反発するケース
- 契約内容の曖昧さ:委任範囲が不明確で、必要な手続きが実行されないケース
- 解約時のトラブル:解約時に預託金が全額返還されない、高額な違約金を請求されるケース
- 認知症後の契約不能:「まだ早い」と先延ばしにしているうちに認知症を発症し、契約できなくなるケース
トラブルを防ぐ3つの対策
- 公正証書で作成する:法的安定性が高く、相続人との紛争防止にも有効
- 親族に事前通知する:契約の存在と内容を親族に伝えておくことで、死後のトラブルを回避
- 預託金は信託管理の事業者を選ぶ:信託銀行での分別管理が最も安全
よくある質問
Q. 死後事務委任契約は何歳から結べますか?
年齢制限はありません。判断能力が十分にある成人であれば、何歳でも契約できます。ただし、認知症を発症すると契約できなくなるため、元気なうちに早めに準備することが大切です。
Q. 家族がいても契約できますか?
もちろんできます。「子どもに負担をかけたくない」「家族が遠方にいる」といった理由で契約する方は増えています。
Q. 遺言書だけではダメですか?
遺言書は「財産の承継」に特化した文書です。葬儀の手配、賃貸契約の解除、遺品整理などの「事務手続き」には法的拘束力がありません。両方を準備するのが理想です。
Q. 契約後に内容を変更できますか?
委任者が判断能力を保っている限り、いつでも変更・解約が可能です。生活状況や希望が変わった場合は、受任者に相談して契約内容を見直しましょう。
Q. 費用が心配です。年金暮らしでも利用できますか?
葬儀を直葬にする、遺品整理の範囲を限定するなど、内容を絞れば費用を抑えることができます。社会福祉協議会の受任事業や、遺産から精算する「遺産清算方式」を採用する事業者もあります。まずは無料相談で費用の見積もりを取りましょう。
まとめ|「備えあれば憂いなし」——今こそ検討を
死後事務委任契約は、決して「特別な人」のためだけの制度ではありません。この記事でご紹介した7つのケースのいずれかに当てはまる方は、ぜひ前向きに検討してみてください。
- 身寄りがない・頼れる家族がいない方は、最優先で準備を
- 家族がいても「負担をかけたくない」方にも有効な備え
- 遺言書・任意後見契約と組み合わせることで、切れ目のない安心を実現
- 認知症になってからでは契約できない——元気な今が始めどき
つながりサポートでは、身元保証・見守り・死後事務委任まで、おひとりさまが安心して暮らし続けるための総合的な支援を提供しています。「自分に必要かどうかわからない」という段階からでも、お気軽にご相談ください。

