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死後事務委任契約書のひな形と記載事項|必須項目・公正証書化の手順【2026年版】

投稿日/2026.03.19 更新日/2026.03.19

カテゴリー:死後事務委任

「死後事務委任契約を結びたいけれど、何を書けばいいかわからない」「ひな形はどこかにないか」——そんな疑問を持つ方が増えています。死後事務委任契約は、亡くなった後の手続きをあらかじめ信頼できる人や機関に委任しておく契約です。正しい書き方と必須記載事項を知っておくことが、有効な契約書を作るための第一歩です。

この記事では、死後事務委任契約書の必須記載事項・ひな形の構成・公正証書化の手順・費用相場・よくあるトラブルまでを網羅的に解説します。


目次

死後事務委任契約とは?基本の確認

死後事務委任契約とは、本人(委任者)が元気なうちに、自分が亡くなった後に必要な手続き・事務を、信頼できる人や専門家(受任者)に委任しておく契約です。

通常の委任契約は「委任者の死亡によって終了する」(民法653条)のが原則ですが、死後事務委任契約では「委任者の死亡後も効力を継続する」旨を特約として明記することで、有効性を保ちます。この特約を忘れると契約が無効になるため、必須の記載事項のひとつです。

特に必要とされるケースは以下の通りです。

  • おひとりさま・単身高齢者:家族がおらず、死後の手続きを頼める人がいない
  • 遠方に家族がいる:子どもが遠方に住んでおり、すぐに駆けつけられない
  • 家族に負担をかけたくない:手続きの煩雑さを家族に押しつけたくない
  • 内縁関係のパートナーがいる:法定相続人ではないパートナーに手続きを依頼したい
  • 特別な葬儀・埋葬を希望する:散骨・樹木葬など、一般的でない方法を確実に実行してほしい

死後事務委任契約書の必須記載事項

契約書に漏れがあると、受任者が業務を遂行できなかったり、相続人とトラブルになったりすることがあります。以下の項目を必ず含めるようにしましょう。

死後事務委任契約書の必須記載事項を確認するイメージ

① 契約の目的と当事者の特定

  • 委任者(本人)の氏名・生年月日・住所
  • 受任者(依頼先)の氏名・住所・連絡先
  • 契約の趣旨・目的(死後事務を委任する旨の明記)

② 死亡による効力継続の特約(最重要)

「委任者の死亡によっても本契約の効力は失われない」旨を明記します。これがないと、委任者死亡時点で契約が終了し、受任者が何もできなくなります。

③ 委任事務の範囲(具体的に列挙)

何を委任するかを具体的に書きます。詳細は次項で説明します。

④ 費用と報酬の取り決め

  • 死後事務にかかる実費の支払い方法(遺産から控除 or 預託金方式)
  • 受任者への報酬額・支払時期
  • 預託金を使う場合は保管口座・精算方法を明記

⑤ 報告義務

受任者は、生前の預託金について年1回書面で報告し、死後事務終了後1ヶ月以内に実施内容を書面で報告する旨を記載します。

⑥ 契約の解除・変更

委任者が存命中はいつでも解除・変更できる旨と、その手続き方法を明記します。

⑦ 守秘義務・免責事項

受任者が委任者の個人情報・財産情報を外部に漏らさない旨、受任者が善意で行った行為については免責される旨を記載します。

委任できる業務の範囲(具体的な内容一覧)

死後事務委任契約は、当事者が合意した内容を自由に定められます。以下は一般的に委任される業務の範囲です。自分に必要な項目を選んで契約書に盛り込みましょう。

カテゴリー 具体的な業務内容
葬儀・火葬・埋葬 遺体の引き取り・安置手配、葬儀社への連絡・手配、火葬・納骨・埋葬の手続き、供養方法の実施
親族・関係者への連絡 死亡の通知(親族・友人・職場・取引先へ)、葬儀の案内
医療費・施設費用の精算 入院費・施設利用料の清算・支払い、医療機関への手続き
行政手続き 死亡届の提出、健康保険・年金の資格喪失届、運転免許証・マイナンバーカードの返納
住居の明渡し・遺品整理 賃貸住宅の解約・明渡し手続き、家財・遺品の整理・処分
各種契約の解約 電気・ガス・水道・電話の解約、サブスクリプション・ウェブサービスの解約、クレジットカードの解約
デジタルデータの処理 SNSアカウントの削除・追悼処理、デジタルデータ・ファイルの削除
ペットの引き継ぎ ペットの新しい飼育者への引き渡し
その他 各種資格証明書の返納、未収金・保証金の回収

委任できない業務として、財産の相続手続き(銀行口座・不動産の名義変更など)があります。これらは遺言書や法定相続の手続きで対応する必要があります。死後事務委任契約と遺言書を組み合わせて準備することが理想です。


契約書のひな形・条文構成

死後事務委任契約書には法定書式はありません。ただし一般的に以下の条文構成が使われます。

条文 内容
第1条 契約の趣旨・目的
第2条 死亡後も効力が継続する特約(最重要)
第3条 委任事務の範囲(具体的業務の列挙)
第4条 葬儀・埋葬の詳細(形式・場所・規模)
第5条 費用負担の方法(遺産控除型 or 預託金型)
第6条 受任者への報酬額・支払い方法
第7条 預託金の管理・保管方法(預託金型の場合)
第8条 報告義務(生前:年1回 / 死後:1ヶ月以内)
第9条 契約の解除・変更方法
第10条 免責事項
第11条 守秘義務
第12条 合意管轄・準拠法

費用の支払い方式:2つのパターン

  • 遺産控除型:死後事務の費用を遺産から支払う方式。生前にまとまった費用を預ける必要がなく、委任者の負担が少ない。ただし遺産が少ない場合は資金不足になるリスクがある
  • 預託金型:生前に費用の概算額を専用口座に預ける方式。資金が確保されているため受任者が安心して業務を行える。ただし業者が倒産した場合に預託金が戻らないリスクがあるため、信託口座での管理を契約書に明記することが重要

公正証書で作成すべき理由と作成の流れ

公証役場での公正証書作成のイメージ

死後事務委任契約を公正証書で作成することは義務ではありません。しかし、以下の理由から公正証書化を強くおすすめします

公正証書にするメリット

  • 法的な証拠力が高い:公証人が作成するため偽造・改ざんが困難。第三者への証明が容易になる
  • 相続人とのトラブルを防ぐ:公正証書があれば、受任者が「委任者の意思に基づいて行動している」ことを証明できる
  • 金融機関・行政機関への提示がスムーズ:原本が公証役場に保管され、謄本を紛失しても再取得できる
  • 本人の判断能力を記録:公証人が契約時の本人の意思能力を確認するため、後から「意思能力がなかった」という争いが起きにくい

公正証書作成の流れ

  • Step 1:委任内容を決定し、受任者との合意を形成する
  • Step 2:最寄りの公証役場に連絡・予約(事前に草案を送るとスムーズ)
  • Step 3:必要書類を持参して公証役場を訪問(委任者・受任者ともに出席が原則)
  • Step 4:公証人が契約内容を読み上げ・確認。双方が署名・押印
  • Step 5:原本は公証役場に保管、謄本が交付される

費用相場(公正証書化する場合)

  • 公証人への手数料:11,000円(原則)
  • 専門家(司法書士・行政書士・弁護士)への報酬:10〜30万円
  • 死後事務の実費+サービス会社報酬:50〜100万円(内容により異なる)

よくあるトラブルと注意点

信頼できる専門家と確認する高齢者のイメージ

死後事務委任契約を巡るトラブルは年々増加しています。国民生活センター(2024年11月)も注意喚起を行っています。主なトラブルと対策を把握しておきましょう。

よくあるトラブル 対策
相続人が契約内容に反発・契約無効を主張する 公正証書化する。家族にも事前に契約内容を伝えておく
業者が倒産・廃業して預託金が戻らない 預託金は信託口座で管理するよう契約書に明記する。弁護士・司法書士などの士業に依頼する
二重契約(複数の事業者と契約)の発覚 契約時に他の契約の有無を確認。変更・解除の際は先の契約を解除してから新たに締結する
契約内容が曖昧で業務が遂行されない 委任する業務を具体的に列挙し、金額・方法まで明記する
資格のない業者による不適切な対応 依頼先は弁護士・司法書士・行政書士などの有資格者、または実績ある法人を選ぶ

信頼できる依頼先の選び方

  • 弁護士・司法書士・行政書士などの士業資格者、または士業が関与している法人に依頼する
  • 実績・対応事例が公開されているか確認する
  • 費用の内訳が明確で、書面で提示される業者を選ぶ
  • 公正証書での契約に対応しているか確認する
  • 預託金を使う場合、信託口座で管理されているか確認する

よくある質問(FAQ)

Q. 死後事務委任契約は遺言書と何が違いますか?

遺言書は「財産をどのように分けるか」を法的に定める書類です。一方、死後事務委任契約は「葬儀・手続き・遺品整理など財産以外の実務的な事務」を委任する契約です。目的が異なるため、両方を組み合わせて準備することが理想です。

Q. 家族がいれば死後事務委任契約は不要ですか?

家族がいる場合でも、「家族の負担を軽減したい」「特別な葬儀を確実に実行してほしい」「家族間で意見が分かれそう」というケースでは有効です。特に家族に迷惑をかけたくない方に多く利用されています。

Q. 認知症になってから契約できますか?

契約時点で意思能力(契約内容を理解できる能力)が必要です。認知症が進行した後では契約が無効になります。「元気なうち・早めに」が原則です。

Q. 契約後に内容を変更できますか?

委任者が存命中・意思能力がある間はいつでも変更・解除できます。変更後は書面(できれば公正証書)で新たな合意を作成することが重要です。


死後事務委任契約を遺言書・任意後見契約と組み合わせる

死後事務委任契約は単体で使うより、遺言書・任意後見契約と組み合わせることで、生前から死後まで切れ目なく準備できます。3つの制度の役割の違いを正確に理解しましょう。

制度 有効時期 主な役割 カバーする範囲
任意後見契約 判断能力低下後(生前) 財産管理・身上保護 入院・施設入居の手続き、財産の管理・処分
遺言書 死亡後(効力発生) 財産の分配指定 誰に何を相続させるかを法的に決める
死後事務委任契約 死亡後(直後から) 実務的手続きの委任 葬儀・遺品整理・各種手続き・解約など

特に注意したいのは、任意後見人には死後の事務を行う権限がないという点です。任意後見人は委任者の死亡をもって権限が終了します。そのため「任意後見契約だけ結んでいれば死後も大丈夫」という誤解が生じやすいため注意が必要です。死後の事務は別途、死後事務委任契約で対応する必要があります。

契約前に確認しておくべきチェックリスト

死後事務委任契約を締結する前に、以下の項目を確認・整理しておくと、スムーズに契約内容を決められます。

委任内容を決めるための事前確認事項

  • 葬儀の希望:どんな形式(家族葬・直葬など)か。宗教・宗派はあるか。葬儀費用の準備はできているか
  • お墓・納骨の希望:すでにお墓があるか。樹木葬・散骨を希望するか。永代供養を希望するか
  • 住居の状況:持ち家か賃貸か。賃貸の場合、明渡し・残置物処理の手続きが必要
  • 解約が必要な契約の一覧:電気・ガス・水道・電話・ネット・クレジットカード・サブスクなど
  • ペットの有無:ペットの引き継ぎ先は確保できているか
  • デジタル資産・アカウント:SNS・ネットバンキング・デジタルデータの整理方法
  • 費用の準備状況:死後事務にかかる費用をどのように用意するか(遺産 or 預託金)

依頼先を選ぶ際の確認事項

  • 弁護士・司法書士・行政書士などの有資格者が関与しているか
  • 費用の内訳・報酬額が書面で明示されているか
  • 公正証書での契約に対応しているか
  • 預託金を信託口座で管理しているか(倒産リスクへの対策)
  • 実績・対応事例が確認できるか
  • 生前からの見守りサービスとセットで提供しているか

死後事務委任契約の費用を準備する方法

死後事務委任契約の費用は、相続財産から支払う方法と、生前に積み立てる方法があります。どちらの方式を選ぶかによって、契約書の記載内容も変わります。

  • 遺産控除型:遺産から支払うため生前の出費なし。ただし「遺産がどれくらいあるか」を事前に把握し、死後事務費用を賄えるか確認が必要
  • 生命保険活用:死亡保険金の受取人を死後事務委任の受任者に指定する方法。費用が確実に確保される
  • 預託金積み立て:生前に専用口座に費用を積み立てる。信託口座を使えば業者倒産のリスクも軽減できる

費用の総額は委任する業務の範囲によって大きく変わります。葬儀のみなら数十万円、遺品整理・住居の明渡し・各種手続きまで含めると100万円以上になるケースもあります。専門家に相談しながら必要な業務の範囲と費用を明確にしていきましょう。

自分で作成する場合の注意点と専門家依頼の判断基準

死後事務委任契約書を自分で作成することも可能ですが、いくつかの注意点があります。専門家に依頼するかどうかの判断基準と合わせて確認しておきましょう。

自分で作成する場合のリスク

  • 法的な不備が生じやすい:「委任者死亡後も効力継続」の特約漏れや、委任事務の範囲が曖昧だと、いざというときに契約が機能しない
  • 相続人との争いに対抗できない:自作の書面は、相続人から「委任者の意思ではない」と争われた場合に証拠力が弱い
  • 費用の過不足が生じやすい:死後事務にかかる実際の費用を正確に見積もれないと、遺産が不足したり、過剰な預託を求められたりする

専門家に依頼すべきケース

  • 相続人(家族)がいない、または連絡が取れない状況のおひとりさま
  • 不動産・株式・まとまった預貯金など財産の整理が複雑な場合
  • 特別な葬儀形式・散骨など、一般的ではない方法を確実に実行したい場合
  • ペットの引き継ぎなど個別事情がある場合
  • 内縁パートナーへの手続き委任など、法定相続人以外に依頼したい場合

これらに該当する場合は、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家への依頼が安全です。費用はかかりますが、トラブルを未然に防ぐコストとして考えると合理的な判断です。

死後事務委任契約に関する最新の法的動向(2026年版)

死後事務委任契約は民法上の委任契約(民法643条)を根拠としています。近年、以下のような動向に注目が集まっています。

国土交通省・高齢者の居住安定確保に関する指針

国土交通省は賃貸住宅における高齢者の死後事務を整理するため、死後事務委任契約の活用を推奨するガイドラインを策定しています。賃貸住宅居住の高齢者が死亡した場合の明渡し・残置物処理の問題について、死後事務委任契約を通じてスムーズに対応できるよう整備が進んでいます。

終活支援ビジネスへの規制強化の議論

終活関連の民間企業による死後事務委任サービスのトラブルが増加していることを受け、消費者庁・法務省を中心に業者規制の強化が議論されています。現時点では法律による業者規制はありませんが、士業資格のない業者への依頼には特に注意が必要です。

こうした動向からも、信頼できる士業や専門機関を通じた契約が今後さらに重要になると言えます。定期的に制度・法律の動向をフォローしておきましょう。

ケーススタディ:死後事務委任契約で安心を得た事例

実際にどのような場面で死後事務委任契約が役立つのか、具体的なケースで考えてみましょう。

ケース①:おひとりさまのAさん(70代・女性)

子どもなし・兄弟姉妹も遠方で疎遠。老人ホームへの入居を検討していたが、施設から身元保証人を求められ困っていました。司法書士に相談し、身元保証サービス・任意後見契約・死後事務委任契約の3点セットを整備。死後の葬儀・納骨・賃貸の明渡し・各種解約まで契約書に明記したことで「もしものとき」の不安が解消されました。

ケース②:内縁関係のBさんカップル(60代)

20年間同居しているパートナーがいるが、法律上の婚姻関係はなし。パートナーが法定相続人にならないため、遺産や葬儀の手配を任せられないと悩んでいました。遺言書でパートナーへの財産遺贈を指定し、死後事務委任契約で葬儀・遺品整理・各種手続きをパートナーに委任することで解決。公正証書化することで法的効力も確保しました。

ケース③:家族はいるが迷惑をかけたくないCさん(80代・男性)

息子夫婦は共働きで多忙。自分が亡くなった後の葬儀準備や遺品整理など、息子に負担をかけたくないという思いがありました。専門家との死後事務委任契約で葬儀・遺品整理・各種手続きを委任し、息子には「手続きは任せてあるから心配しなくていい」と伝えることで、家族双方が安心できる状況を整えました。

まとめ:確実に実行される契約書を作るために

死後事務委任契約書に必要な核心は、①委任者死亡後も効力が継続する特約、②委任事務の具体的な列挙、③費用・報酬の取り決め、④報告義務の規定——この4点です。これらが明確に盛り込まれていれば、受任者がスムーズに業務を遂行できます。

また、公正証書化することで法的な証明力が高まり、相続人とのトラブルを未然に防げます。信頼できる専門家(弁護士・司法書士・行政書士)に依頼することが、安全な契約書作りの最短ルートです。

「何を書けばいいかわからない」「どの専門家に頼めばいいか」とお悩みの方は、つながりサポートの無料相談をご利用ください。死後事務委任契約書の内容から受任者の選び方、費用の整理まで、専門スタッフが丁寧にサポートします。

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