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親の遺言書作成をサポートする方法|切り出し方・手順・専門家の選び方を徹底解説【2026年版】
投稿日/2026.04.13 更新日/2026.04.10
カテゴリー:親の終活(子世代向け)

「親に遺言書を書いてもらいたいけど、どう切り出せばいいか分からない」「相続のことを話すのは気まずい」と感じている方は多いのではないでしょうか。しかし、準備が遅れるほど認知症や急病で手遅れになるリスクが高まります。この記事では、子世代が親の遺言書作成をスムーズにサポートするための切り出し方・手順・専門家の活用法を、2026年版の最新法改正情報とともに詳しく解説します。
目次
なぜ今すぐ親の遺言書について話すべきなのか
遺言書の話を先延ばしにしたいのは、親も子も同じです。しかし、先延ばしには大きなリスクが伴います。最も危険なのは「認知症になってからでは遅い」という現実です。
遺言書が法的に有効であるためには、作成時に遺言能力(遺言内容を理解し、その結果を判断できる能力)が必要です。認知症の診断後に書かれた遺言書は「作成時に意思能力がなかった」として相続人が無効を争うケースが後を絶ちません。いちど認知症が進行すると、改善は期待できません。
さらに、2024年4月から相続登記が義務化され、相続を知ってから3年以内に登記しないと10万円以下の過料が課されるようになりました。遺言書があれば登記手続きが格段にスムーズになるため、遺言書の重要性はこれまで以上に高まっています。
話すべき最適なタイミング(3つのシグナル)
- 親が大病(がんなど)を患ったとき——自らの死を現実として感じ、前向きに話せる
- 身近な人が亡くなり相続の大変さを目の当たりにしたとき——「子どもに同じ思いをさせたくない」という気持ちが生まれる
- 認知症の兆候が出始める前(65〜70歳前後)——最も重要。元気なうちが最善
切り出し方のコツ
いきなり「遺言書を書いて」と言っても、親が構えてしまうことがあります。以下のアプローチが効果的です。
- 「テレビで相続トラブルの特集を見て…」と第三者の話題から入る
- 「私たち子どもが困らないように整理しておいてほしい」と子への思いやりに訴える
- 「遺言書には財産の分け方だけでなく、家族への気持ちも書ける」と付言事項の存在を伝える
- 気まずさを脇に置き、率直に「お願いしたいことがある」と伝える
遺言書の3種類をわかりやすく比較
遺言書には3種類あります。それぞれの特徴を理解した上で、親の状況に合ったものを選びましょう。
| 項目 | 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | 秘密証書遺言 |
|---|---|---|---|
| 作成方法 | 本人が全文自書・押印 | 公証人が作成 | 本人が署名・公証人が封印 |
| 費用 | 0円〜(保管制度は3,900円) | 数万円〜 | 数万円〜 |
| 検認 | 必要(保管制度利用なら不要) | 不要 | 必要 |
| 無効リスク | やや高い | 極めて低い | やや高い |
| おすすめ度 | 費用を抑えたい場合 | 最も安心・確実 | 実務ではほぼ使われない |
実務では公正証書遺言が最もおすすめです。法律の専門家(公証人)が関与するため、形式不備や無効リスクがほぼゼロで、家庭裁判所での検認手続きも不要です。費用を抑えたい場合は、自筆証書遺言と後述の法務局保管制度を組み合わせる方法があります。
自筆証書遺言の書き方と最新ルール(2019年改正対応)
自筆証書遺言には法律で定められた要件があります。一つでも欠けると無効になるため、親と一緒にチェックしましょう。
有効な自筆証書遺言の5つの要件
- 本文の全文を自書する(ワープロ・代筆は不可)
- 作成日付を自書する(「○年○月○日」と具体的に。「吉日」は無効)
- 氏名を自書する(フルネーム)
- 押印する(認印可。実印が望ましい)
- 財産目録はパソコン作成・不動産登記のコピー添付も可(2019年法改正)
財産目録に関する重要ルール
2019年の民法改正で、財産目録のみパソコン作成が認められましたが、注意点があります。
- 財産目録の全ページに必ず署名・押印が必要(抜けると無効)
- パソコンで作れるのは財産目録部分のみ。本文は必ず手書き
- 財産の記載は具体的に(不動産は所在地・地番まで、口座は金融機関名・口座番号まで)
よくある無効パターン(注意点)
- 日付が「吉日」など特定できない書き方
- 財産目録への署名・押印の漏れ
- 不動産の記載が「自宅」だけで所在地がない
- 複数の遺言書の内容が矛盾している(日付が新しい方が優先)
法務局の自筆証書遺言書保管制度を活用しよう
2020年7月から始まった「自筆証書遺言書保管制度」を使えば、わずか3,900円で法務局に遺言書を預けることができます。費用を抑えたい場合の最善策です。
この制度の主なメリット
- 紛失・改ざん・隠蔽のリスクがゼロになる
- 家庭裁判所の検認手続きが不要になる
- 遺言者が亡くなると相続人等に通知される(通知登録をした場合)
- 遺言書の画像データが管理される
申請に必要なもの
- 自筆証書遺言書(法務局が定める様式に沿って作成)
- 本籍地入りの住民票(3カ月以内)
- 遺言書保管申請書(3,900円の収入印紙を貼付)
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)
ただし、法務局は書式のチェックのみで内容の法的有効性は保証されません。また、申請できるのは遺言者本人のみで代理人は不可です。親を直接法務局に連れて行く必要があります。
公正証書遺言の作成手順と費用(2025年10月改正対応)
公正証書遺言は費用がかかりますが、最も安心・確実な方法です。2025年10月には公証人手数料が約25年ぶりに改定され、リモートでの作成も可能になりました。
作成の流れ
- 財産の棚卸しをする(不動産登記事項証明書、預貯金通帳、有価証券等を一覧化)
- 誰に何を渡すか親が決める(子は誘導せず、親の意思を尊重)
- 専門家または自分で遺言の原案を作成する
- 公証役場に事前相談する(無料)
- 証人2名を手配する(相続人・受遺者やその家族は証人になれない)
- 公証役場で作成・署名し、手数料を支払う
公証人手数料の目安(2025年10月改正後)
| 財産を受け取る人への財産価額 | 手数料 |
|---|---|
| 100万円以下 | 5,000〜7,000円 |
| 200万〜500万円 | 13,000円 |
| 500万〜1,000万円 | 20,000円 |
| 1,000万〜3,000万円 | 26,000円 |
| 3,000万〜5,000万円 | 33,000円 |
| 5,000万〜1億円 | 49,000円 |
手数料は「財産を受け取る人ごとに」計算して合計します。さらに財産総額1億円以下の場合は遺言加算13,000円が加わります。例えば財産3,000万円を配偶者2,000万円・長男1,000万円に分ける場合の公証役場費用は合計約64,000円が目安です。
2025年10月から:リモートでの作成も可能に
2025年10月からウェブ会議システムを利用したリモート作成が可能になりました。遠方に住んでいる親や外出が困難な高齢者でも、自宅から公正証書遺言を作成できるようになっています(PC必須。スマートフォン・タブレット不可)。

子が親の遺言書作成をサポートする際の手順と注意点
子が親をサポートする際に大切なのは「親の意思を尊重すること」です。遺言書は遺言者の自由意思が前提であり、強制・誘導は厳禁です。無効になるだけでなく、後に「脅迫や詐欺による遺言」として争われるリスクもあります。
サポートの流れ(STEP別)
STEP 1:話を切り出す
前述の切り出し方のコツを参考に、タイミングを見計らって提案します。一度で決まらなくても、繰り返し話す機会を作ることが大切です。
STEP 2:財産の棚卸しを一緒にする
不動産(登記簿謄本を取得)、預貯金(通帳・カードを確認)、有価証券、保険証券などを一覧化します。エンディングノートを活用すると取り組みやすくなります。
STEP 3:誰に何を渡すか親に決めてもらう
子は選択肢を提示するに留め、決定はあくまで親に委ねます。この際、遺留分(法定相続人の最低保証分)を侵害しない内容にすることも確認しておきましょう。
STEP 4:専門家に相談する
不動産が絡む場合は司法書士、相続トラブルのリスクがある場合は弁護士、シンプルな相続なら行政書士が窓口になります。費用を抑えたい場合は、公証役場の無料相談を最初の一歩にする方法もあります。
STEP 5:遺言書を作成する
公正証書遺言の場合は親を公証役場へ連れて行く(2025年10月からはリモートも可)。自筆証書遺言の場合は親が手書きで作成し、子は法務局への保管申請に同伴します。
STEP 6:保管場所を把握しておく
公正証書遺言なら全国の公証役場で「遺言検索システム」により検索できます。自筆証書遺言書保管制度を使えば法務局が管理してくれるため、紛失の心配がありません。
重要な注意点
- 子(相続人)は公正証書遺言の証人になれない(民法974条)——証人は相続人・受遺者以外の成人が必要
- 費用は子が代わりに負担しても問題ない
- 財産状況・家族構成の変化に合わせて数年ごとに内容を見直す

遺言書作成を依頼できる専門家と費用相場
| 専門家 | 報酬の相場 | こんな場合に向いている |
|---|---|---|
| 行政書士 | 5〜15万円 | シンプルな相続。最もリーズナブル |
| 司法書士 | 8〜20万円 | 不動産ありの案件。相続登記まで一括対応 |
| 弁護士 | 15〜30万円 | 複雑な相続・相続トラブルのリスクがある案件 |
費用を抑えるには、①自分で遺言原案を作り公証役場の無料相談でチェックを受ける、②証人を知人に依頼する(専門家に依頼すると1人あたり約1万円)、③市区町村の無料法律相談を活用する、といった方法があります。
遺言書が無効にならないための予防策
せっかく作成した遺言書が後から無効を争われては意味がありません。以下の予防策を押さえておきましょう。
相続トラブルを防ぐ5つのポイント
- 公正証書遺言を選ぶ:公証人が関与するため、形式不備・無効リスクがほぼゼロ
- 付言事項で想いを伝える:なぜこの分配にしたかを文章で説明し、感情的なトラブルを防ぐ
- 遺留分を考慮した配分にする:遺留分を侵害すると「遺留分侵害額請求」を受ける可能性がある
- 遺言執行者を指定する:遺言内容を実行する人を指定しておくと手続きがスムーズ
- 定期的に見直す:財産・家族構成の変化に応じて更新する
認知症リスクへの対策
遺言書作成後しばらくして認知症の診断が出た場合、「作成当時も意思能力がなかった」と争われる可能性があります。予防策として、遺言書作成直前に医療機関で長谷川式認知症スケール(HDS-R)を受けておき、正常範囲内の診断書を取得しておくと有力な証拠になります。
2026年以降の注目:デジタル遺言の制度化
2026年1月に法制審議会がデジタル遺言(保管証書遺言)の要綱案を取りまとめました。スマートフォンやPCで遺言書を作成し、法務局等の公的機関に保管する新制度で、押印不要を想定しています。ただし2026年3月現在、法律は未成立で、国会審議・成立後に施行時期が決まります。動向を注視しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 親が「遺言書なんて必要ない」と言って取り合わない。どうすればいい?
無理に急かすのは逆効果です。「知り合いの家で相続が大変だった」「テレビで特集していた」など間接的な話題から繰り返し話す機会を作り、親が自分ごととして考えるようになるのを待ちましょう。付言事項(家族への手紙)として気持ちを伝えられることを知らせると、前向きになる方も多いです。
Q. 遺言書の費用は子が出しても問題ないですか?
問題ありません。公証役場の手数料・専門家報酬・書類取得費用など、すべて子が負担することができます。
Q. 認知症の診断後でも遺言書は作れますか?
軽度認知症(MCI)の段階であれば、公証人の確認のもとで有効な公正証書遺言を作れる場合があります。ただし後日争われるリスクは残ります。医師の診断書を取得し、公証人に遺言能力の確認を依頼することが重要です。
Q. 自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらがいいですか?
費用よりも確実性を重視するなら公正証書遺言です。費用を抑えたい・今すぐ手を打ちたいなら自筆証書遺言+法務局保管制度(3,900円)が選択肢になります。トラブルリスクがある場合は必ず公正証書遺言をおすすめします。
Q. 遺言書を作った後に内容を変えることはできますか?
いつでも変更できます。自筆証書遺言は新しい日付で改めて作成し、古い遺言書を破棄または「撤回する」旨を明記します。公正証書遺言の場合は公証役場で撤回・新規作成の手続きをします。
まとめ:親への思いやりが最大の相続対策
遺言書の話を持ち出すのは勇気がいることです。しかし「元気なうちに」動けるかどうかが、その後の家族の負担を大きく左右します。大切なのは親の意思を尊重しながら、サポートに徹することです。
- タイミングを逃さず:認知症・大病の前に話を切り出す
- 公正証書遺言が最も確実:2025年10月からリモートでの作成も可能
- 費用を抑えるなら:自筆証書遺言+法務局保管制度(3,900円)
- 専門家に頼る:不動産あり→司法書士、トラブルリスクあり→弁護士
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